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最低賃金が高い・低い都道府県ランキング【2026年度】東京1,280円・宮崎1,085円、差195円は10年で最小

厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」から、2026年度の最低賃金(時間額)を47都道府県で並べた。1位は東京都の1,280円、最下位は宮崎県の1,085円、全国加重平均は1,177円で前年度から56円上がった。10月1日〜12月2日に分かれる発効日、国の目安との差、10年の推移、フルタイムで働いた場合の年収、平均年収や家賃と比べた重さも計算した。

秋の午後の光が差し込む小さな店の休憩室で、壁のフックに色違いのエプロンが並び、数字のない丸い壁時計が掛かっているAI生成画像
ビジネス
公開日: 2026年10月21日
読了時間: 25 分
著者: ぽちょ研究所
読了時間: 25 分

アルバイトの時給を決めるとき、パートの求人を比べるとき、地方へ引っ越して働き口を探すとき。どこかで必ず目にするのが「最低賃金」だ。最低賃金は毎年秋に改定される。ただ、新しい額に切り替わる日は都道府県ごとに違い、地域の差はこの10年で縮み、その地域の平均的な給料と比べた重さは地域でかなり違う。

この記事では、厚生労働省が公表している「令和8年度(2026年度)地域別最低賃金の全国一覧」と、平成14年度からの改定状況の一覧から、47都道府県の最低賃金を並べた[1][2]。前年度からの上がり方、発効日、10年間の推移を見たうえで、フルタイムで働いた場合の年収の目安、都道府県別の平均年収や家賃と比べた重さも計算した。

1. 結論:1位は東京の1,280円、最下位は宮崎の1,085円。差は195円で、この10年で最も小さい

  • 2026年度の最低賃金(時間額)は、東京都が1,280円で1位。 2位は神奈川県(1,279円)、3位は大阪府(1,231円)[1]。
  • 最下位は宮崎県の1,085円。 高知県と沖縄県が1,086円で並び、1円差で続く。
  • 全国加重平均は1,177円で、前年度(1,121円)から56円、5.0%上がった。 56円の引上げは、目安制度が始まった1978年度以降で2番目に大きい[3]。
  • 最高と最低の差は195円。 最低額は最高額の84.8%で、この比率は12年連続で改善した[3]。差の金額も、2016年度の218円から縮み、この10年で最も小さくなった。
  • 1,100円以上は29都道府県、1,100円未満は18県。 18県は1,085円から1,098円の13円の幅にひしめいている。
  • 発効日はばらばら。 10月1日に上がったのは15都道府県だけで、最も遅い沖縄県は12月2日。2026年10月21日の時点で新しい額になっているのは32都道府県だ。
  • フルタイム(年2,000時間)で働くと、東京は年256.0万円、宮崎は年217.0万円。 その地域の平均的な年収に対しては、東京が37.8%、青森が54.4%で、地方ほど最低賃金が「平均に近い」。

地域別最低賃金とは

最低賃金は、最低賃金法にもとづいて国が決める賃金の下限だ。これより低い賃金を労使で合意しても、その部分は無効になり、最低賃金と同じ額を約束したものとみなされる[7]。

  • 地域別最低賃金は、産業や職種にかかわらず、その都道府県内の事業場で働くすべての労働者と使用者に適用される。正社員だけでなく、パート・アルバイトにも適用される。派遣労働者には、派遣先の都道府県の額が適用される[9]。
  • 特定の産業には別に「特定最低賃金」がある。両方が適用される場合は、高い方以上を払う必要がある[9]。
  • 金額は、地方最低賃金審議会の審議を経て、都道府県労働局長が決める。審議では①労働者の生計費、②労働者の賃金、③通常の事業の賃金支払能力の3つを考慮し、生計費については生活保護との整合性にも配慮することになっている[7]。
  • 2002年度からは、金額は時間額だけで示されている[7]。

2. 47都道府県ランキング:全国平均を超えるのは7都府県。下位18県は13円の幅に集まる

順位都道府県2026年度2025年度引上げ額(率)目安との差発効日
1東京都1,280円1,226円+54円(4.4%)±010月1日
2神奈川県1,279円1,225円+54円(4.4%)±010月1日
3大阪府1,231円1,177円+54円(4.6%)±010月1日
4埼玉県1,196円1,141円+55円(4.8%)+1円10月1日
5千葉県1,195円1,140円+55円(4.8%)+1円10月1日
5愛知県1,195円1,140円+55円(4.8%)+1円10月1日
7京都府1,180円1,122円+58円(5.2%)+2円11月16日
8兵庫県1,172円1,116円+56円(5.0%)±010月1日
9静岡県1,154円1,097円+57円(5.2%)+1円10月15日
10三重県1,143円1,087円+56円(5.2%)±010月1日
11広島県1,141円1,085円+56円(5.2%)±010月11日
12茨城県1,136円1,074円+62円(5.8%)+6円10月18日
12滋賀県1,136円1,080円+56円(5.2%)±010月3日
14北海道1,131円1,075円+56円(5.2%)±010月1日
15栃木県1,125円1,068円+57円(5.3%)+1円10月1日
16岐阜県1,121円1,065円+56円(5.3%)±010月1日
17群馬県1,120円1,063円+57円(5.4%)+1円10月3日
18富山県1,119円1,062円+57円(5.4%)+1円10月1日
19長野県1,117円1,061円+56円(5.3%)±010月2日
20福岡県1,114円1,057円+57円(5.4%)+1円10月4日
21石川県1,113円1,054円+59円(5.6%)+3円10月3日
21山梨県1,113円1,052円+61円(5.8%)+5円11月1日
23福井県1,112円1,053円+59円(5.6%)+3円10月4日
24新潟県1,108円1,050円+58円(5.5%)+2円10月1日
25奈良県1,107円1,051円+56円(5.3%)±010月4日
26岡山県1,104円1,047円+57円(5.4%)+1円10月2日
27徳島県1,103円1,046円+57円(5.4%)+1円11月1日
28和歌山県1,101円1,045円+56円(5.4%)±010月3日
28山口県1,101円1,043円+58円(5.6%)+2円10月8日
30宮城県1,098円1,038円+60円(5.8%)+4円10月1日
31大分県1,096円1,035円+61円(5.9%)+5円11月1日
32佐賀県1,095円1,030円+65円(6.3%)+9円11月15日
33福島県1,094円1,033円+61円(5.9%)+5円10月16日
34愛媛県1,093円1,033円+60円(5.8%)+4円11月1日
35山形県1,092円1,032円+60円(5.8%)+4円10月30日
35島根県1,092円1,033円+59円(5.7%)+3円10月10日
35香川県1,092円1,036円+56円(5.4%)±010月1日
35熊本県1,092円1,034円+58円(5.6%)+2円12月1日
39青森県1,090円1,029円+61円(5.9%)+5円10月29日
39岩手県1,090円1,031円+59円(5.7%)+3円12月1日
39秋田県1,090円1,031円+59円(5.7%)+3円10月14日
39鳥取県1,090円1,030円+60円(5.8%)+4円10月3日
39鹿児島県1,090円1,026円+64円(6.2%)+8円10月25日
44長崎県1,087円1,031円+56円(5.4%)±011月2日
45高知県1,086円1,023円+63円(6.2%)+7円10月29日
45沖縄県1,086円1,023円+63円(6.2%)+7円12月2日
47宮崎県1,085円1,023円+62円(6.1%)+6円10月24日
-全国加重平均1,177円1,121円+56円(5.0%)+1円-

「目安との差」は、国の中央最低賃金審議会が示した引上げ額の目安(後述)と、実際の引上げ額の差。発効日は厚生労働省の一覧に載っている日付だ[1][4]。

上位は大都市圏、全国平均を超えるのは7都府県

全国加重平均の1,177円を上回るのは、東京・神奈川・大阪・埼玉・千葉・愛知・京都の7都府県だけだ。全国加重平均は、それぞれの都道府県で最低賃金が適用される労働者の数で重みを付けた平均なので、働く人の多い大都市圏の額に引っぱられる。47都道府県のうち40道県は、全国平均より低い。

東京と神奈川は1円差で、ほぼ同じ水準に並ぶ。3位の大阪府(1,231円)と4位の埼玉県(1,196円)の間には35円の段差があり、ここで上位3都府県と、それ以外が分かれている。

下位は「1円刻み」の団子状態

一方、30位の宮城県(1,098円)から最下位の宮崎県(1,085円)までの18県は、わずか13円の幅に収まっている。1,090円には青森・岩手・秋田・鳥取・鹿児島の5県が並び、1,092円にも4県が並ぶ。

2025年度は、高知・宮崎・沖縄の3県が1,023円で最下位に並んでいた[2]。2026年度はこの3県がいずれも目安を6〜7円上回って引き上げ、高知と沖縄が1,086円、宮崎が1,085円となった。1円の差で順位が入れ替わる状態なので、ランキングの「最下位」は毎年のように顔ぶれが変わる。順位そのものより、「下位の県どうしはほぼ同じ水準」と読む方が実態に近い。

3. 発効日:10月1日に上がったのは15都道府県だけ。最後の沖縄は12月2日

秋の色づいた並木から、葉を落とした冬の並木へと少しずつ移り変わっていく、まっすぐな田舎道のAI生成画像

新しい最低賃金に切り替わる日は、秋の初めから冬の入り口まで、都道府県ごとに違う。

最低賃金の改定は秋に行われるが、新しい額が発効する日は都道府県ごとに違う。2026年度の発効日を日付順に並べると次のとおりだ[1]。

発効日都道府県
10月1日北海道、宮城、栃木、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、富山、岐阜、愛知、三重、大阪、兵庫、香川(15都道府県)
10月2日〜4日長野、岡山(2日)/群馬、石川、滋賀、和歌山、鳥取(3日)/福井、奈良、福岡(4日)
10月8日〜18日山口(8日)、島根(10日)、広島(11日)、秋田(14日)、静岡(15日)、福島(16日)、茨城(18日)
10月24日〜30日宮崎(24日)、鹿児島(25日)、青森・高知(29日)、山形(30日)
11月山梨・徳島・愛媛・大分(1日)、長崎(2日)、佐賀(15日)、京都(16日)
12月岩手・熊本(1日)、沖縄(2日)

10月中に発効するのは37都道府県、11月が7府県、12月が3県。記事を公開した2026年10月21日の時点では32都道府県が新しい額になっていて、残る15府県はこれから上がる。たとえば京都府は、全国7位の1,180円だが、新しい額になるのは11月16日。それまでは前年度の1,122円が適用される。

発効日がずれる理由と、前年度の大きな後ろ倒し

地方最低賃金審議会が答申した金額は、関係する労使からの異議の申出の手続を経て、都道府県労働局長が決定してから発効する[3]。答申の時点で示される発効日は「予定」で、異議の申出の状況などによって変わることがあるとされている[4]。

この発効日のずれは、2025年度に大きく広がった。2025年度は10月中に発効したのが20都府県にとどまり、11月が13県、12月が8県、2026年1月が4県、3月が2県だった。最も遅い秋田県は2026年3月31日の発効で、半年ほどで2026年度の額(10月14日発効)に切り替わる[2]。2024年度は47都道府県のうち46が10月中に発効していたので、ここ2年で発効日の幅がぐっと広がったことになる。2026年度は12月2日までに収まり、前年度よりは早まった。

働く人にとっては、「何円になるか」と同じくらい「いつから上がるか」が大事だ。給与明細で時給が上がっていないと感じたら、まず自分の都道府県の発効日を確かめたい。

4. 引上げ額と国の目安:全国で56円。目安を上回ったのは33県、地方ほど上げ幅が大きい

毎年の改定は、国の中央最低賃金審議会が示す「目安」から始まる。都道府県を経済の実態に応じてA・B・Cの3ランクに分け、ランクごとに引上げ額の目安を示す仕組みだ。目安は地方の審議を縛るものではなく、あくまで参考とされている[7]。

2026年度の目安は2026年7月28日に示され、Aランク(埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知・大阪)が54円、Bランク(28道府県)とCランク(13県)がいずれも56円だった。目安どおりに上げた場合の全国加重平均は1,176円で、上昇額は55円(前年度は66円)、引上げ率は4.9%(前年度は6.3%)と見込まれていた[5]。なお、目安の金額について労使の意見は一致せず、公益委員の見解を地方に示す形になった[5]。

実際の答申では、47都道府県で54円〜65円の引上げとなった。

  • 目安を上回ったのは33県、目安どおりが14都道府県。 目安を下回った県はない[4]。
  • 最も上げ幅が大きいのは佐賀県の65円(6.3%)で、目安を9円上回った。 鹿児島県の64円(目安+8円)、高知県・沖縄県の63円(同+7円)が続く。
  • 最も小さいのは東京・神奈川・大阪の54円。 Aランクの6都府県は目安どおりか、目安+1円にとどまった。
  • ランク別の平均では、Aランクが54.5円、Cランクが60.8円。地方の県ほど目安を上乗せして上げている。

前節で見たとおり、下位の県は1円単位で並んでいる。目安に数円を上乗せすれば順位が上がり、上乗せしなければ最下位になりうる。2025年度に最下位で並んだ高知・宮崎・沖縄の3県が、そろって目安を6〜7円上回ったのも、この並び方の中での判断だ。

物価と比べると

目安を決めるときに参照された消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)は、2025年10月から2026年6月までの平均で前年比2.1%の上昇だった。食料は4.3%と高かった一方、前年同期(総合3.9%、食料6.4%)よりは上昇が緩やかになっている[6]。最低賃金の全国加重平均は5.0%上がったので、物価の上昇率をはっきり上回った。

5. 10年の推移:全国平均は823円から1,177円へ43%上昇。差は218円から195円へ

2016年度からの10年間を並べると、次のとおりだ[2][8]。

年度全国加重平均前年度から最高(東京都)最低最高と最低の差最低÷最高
2016年度823円+25円932円714円(宮崎県・沖縄県)218円76.6%
2017年度848円+25円958円737円(高知県など8県)221円76.9%
2018年度874円+26円985円761円(鹿児島県)224円77.3%
2019年度901円+27円1,013円790円(青森県など15県)223円78.0%
2020年度902円+1円1,013円792円(秋田県など7県)221円78.2%
2021年度930円+28円1,041円820円(高知県・沖縄県)221円78.8%
2022年度961円+31円1,072円853円(青森県など10県)219円79.6%
2023年度1,004円+43円1,113円893円(岩手県)220円80.2%
2024年度1,055円+51円1,163円951円(秋田県)212円81.8%
2025年度1,121円+66円1,226円1,023円(高知県・宮崎県・沖縄県)203円83.4%
2026年度1,177円+56円1,280円1,085円(宮崎県)195円84.8%

全国加重平均の「前年度から」は、厚生労働省の一覧に載る全国加重平均額(円未満を四捨五入)の差。2016年度と2023年度の引上げ額には、加重平均の計算に使う労働者数を新しくした影響が1円ずつ含まれる[8]。

3つの時期に分かれる

  • 2016〜2019年度:毎年25〜27円、3%台の安定した上昇。 2019年度に東京と神奈川が初めて1,000円を超えた。
  • 2020年度:1円。 新型コロナウイルス感染症が流行していた年で、北海道・東京・静岡・京都・大阪・広島・山口の7都道府県が据え置き、ほかの40県も1〜3円の引上げにとどまった[2]。
  • 2023年度以降:43円、51円、66円、56円と大幅な上昇。 2023年度に全国加重平均が初めて1,000円に届き、2025年度には47都道府県すべてが1,000円を超えた。2026年度には29都道府県が1,100円以上になった。

10年間で全国加重平均は354円、43.0%上がった。2002年度(663円)と比べると、1.8倍近くになっている[2]。

地域の差は「率」でも「金額」でも縮んでいる

最低額÷最高額は、2016年度の76.6%から2026年度の84.8%へ毎年改善した。率だけでなく、金額の差も2018年度の224円をピークに縮み、2026年度は195円になった。

都道府県別に10年の上昇額を見ると、最も大きいのは徳島県の387円(716円→1,103円、+54.1%)だ。徳島県は2024年度に一度に84円引き上げ(896円→980円)、全国の下位グループから抜け出した[2]。大分・佐賀も380円前後上がっている。一方、東京都の上昇は348円(+37.3%)で、上昇率は47都道府県で最も小さい。地方ほど率で大きく上げてきた結果、差が縮んでいる。

「1,500円」の目標までの距離

政府は「2020年代に全国平均1,500円」という目標を掲げ、2026年の方針では「遅くとも2030年代前半できる限り早期に全国平均1,500円を達成する」としている[6]。2026年度の1,177円からは、あと323円だ。

単純計算では、2029年度までに届かせるには3回の改定で毎年約8.4%(約108円)の引上げが必要になる。2026年度と同じ56円ずつなら6回目の改定(2032年度)、5.0%ずつなら5回目(2031年度)で1,500円を超える計算だ。ここ数年の上がり方が続けば、目標の「2030年代前半」に届く水準ではある。

6. フルタイムで働いたら年収はいくら:東京256万円、宮崎217万円。家賃に回る割合は東京が44%

仕事の始まりに、倉庫の作業台の前で作業用の手袋をはめる両手を近くから写したAI生成画像

時給は、1日8時間・年250日の働き方に置き換えると、暮らしの規模が見えてくる。

最低賃金は時給なので、生活の感覚に置き換えるには年収や月収にする必要がある。ここでは次の前提で計算した。

年収の目安 = 最低賃金 × 2,000時間(1日8時間 × 年250日)

1日8時間・年250日は、厚生労働省が最低賃金の確認方法を説明するときに使っている計算例と同じ日数・時間だ[10]。残業代、賞与、通勤手当などは含まない、税金と社会保険料を引く前の額面である。

区分最低賃金年収の目安(年2,000時間)月収の目安(年収÷12)
最も高い(東京都)1,280円256.0万円213,333円
2番目(神奈川県)1,279円255.8万円213,167円
3番目(大阪府)1,231円246.2万円205,167円
全国加重平均1,177円235.4万円196,167円
最も低い(宮崎県)1,085円217.0万円180,833円

東京と宮崎の差は、年にして39万円。月にすると約3.3万円だ。

  • 一般労働者の実際の所定内労働時間(2025年6月の全国平均、月162時間)[11]で計算すると、年1,944時間になり、全国加重平均の年収の目安は228.8万円と、2,000時間の場合より3%ほど低くなる。
  • 10年前の2016年度の全国加重平均(823円)で同じ計算をすると、年164.6万円。10年で約71万円増えたことになる。
  • 2026年度の額が適用されるのは発効日以降なので、2026年の1年間に実際に受け取る額は、この計算より少なくなる。

額面から税金と社会保険料を引いた手取りは、年齢や扶養の有無、加入する保険で変わる。自分の条件で確かめるなら、手取り計算機に年収の目安を入れてみてほしい。

家賃と比べると:東京は月収の44%、青森・宮崎は26%

家賃の都道府県ランキングで使った民営借家の1か月当たり家賃(住宅・土地統計調査、2023年)[12]を、上の月収の目安で割ってみた。

区分都道府県月収の目安民営借家の家賃月収に対する家賃
最も重い東京都213,333円94,802円44.4%
2番目神奈川県213,167円76,356円35.8%
3番目兵庫県195,333円65,097円33.3%
全国全国196,167円65,496円33.4%
3番目に軽い鹿児島県・大分県181,667円・182,667円46,916円・47,163円25.8%
2番目に軽い宮崎県180,833円46,290円25.6%
最も軽い青森県181,667円46,340円25.5%

最低賃金は東京が最も高いが、家賃の差(東京は宮崎の約2.05倍)は最低賃金の差(1.18倍)よりずっと大きい。そのため、最低賃金で働いて民営の賃貸に住むと、東京は額面の月収の4割以上が家賃になる計算だ。地方では最低賃金は低いが、家賃も安いので、割合は2割台半ばにとどまる。沖縄県は、最低賃金が45位なのに家賃が全国15位と中ほどにあるため、割合は29.8%で12番目に重い。

ここでの家賃は「今住んでいる人」の平均で、何十年も前に入居した世帯も含む。これから借りる部屋はもっと高くなりやすいので、この割合は軽めに出ていると考えた方がよい。

7. 平均賃金との関係:東京は平均の4割弱、青森は5割超。地方ほど最低賃金が「平均に近い」

開店前の小さな食堂の厨房で、ステンレスの調理台に重ねた器と湯気の立つ大鍋が朝の光に照らされているAI生成画像

地方では、最低賃金とその地域の平均的な給料との距離が近い。

最低賃金の重さは、その地域の平均的な給料と比べるとよく分かる。都道府県別の平均年収ランキングで計算した推計年収(賃金構造基本統計調査2025年、フルタイムの一般労働者、月給×12+年間賞与)[11]と、前章の年収の目安を比べた。

区分都道府県最低賃金の年収の目安推計年収推計年収に対する割合
最も高い青森県218.0万円400.8万円54.4%
2番目沖縄県217.2万円411.4万円52.8%
3番目宮崎県217.0万円411.6万円52.7%
4番目山形県218.4万円423.8万円51.5%
全国全国235.4万円545.6万円43.1%
3番目に低い茨城県・滋賀県227.2万円533.4万円・533.7万円42.6%
2番目に低い愛知県239.0万円570.4万円41.9%
最も低い東京都256.0万円678.0万円37.8%

最低賃金と推計年収は、47都道府県でかなり強く連動している(相関係数0.87)。ただし差の大きさが違う。推計年収は東京が青森の1.69倍なのに対し、最低賃金は東京が宮崎の1.18倍にとどまる。最低賃金の地域差だけが先に縮んでいるので、地方ほど、最低賃金が平均的な給料に近くなる。

時給で比べても同じ傾向

賞与を除き、時給どうしで比べることもできる。2025年6月の所定内給与(残業代などを除く月給)を所定内労働時間で割った平均時給は、全国で2,102円。これに対する2025年度の最低賃金(1,121円)の割合は53.3%になる[11]。

  • 割合が最も高いのは青森県(63.6%、平均時給1,619円)、次いで宮崎県(62.2%)、山形県(61.8%)。
  • 最も低いのは東京都(46.6%、平均時給2,631円)、次いで茨城県(52.3%)、滋賀県(52.8%)。

厚生労働省の審議会資料でも、同じ統計から、2025年度の最低賃金は一般労働者の所定内給与の中央値の61.2%、平均値の53.0%と試算されている[6]。この記事の53.3%と少しずれるのは、公表されている労働時間が1時間単位に丸められているためだ。同じ資料によれば、ボーナスや残業代を含めて時給にすると、中央値の50.0%、平均値の42.4%になる。国際比較では、OECDによる2025年の数値で、日本の最低賃金は賃金の中央値の46.4%で、フランス(62.5%)やイギリス(61.9%)より低い。EUの最低賃金指令では、水準の適正さをはかる参照値として「中央値の60%」「平均値の50%」などが例に挙げられている[6]。

この比較を読むときの注意

  • 賃金は「働く場所」で集計した、フルタイムの一般労働者の平均だ。 パートなどの短時間労働者や、10人未満の事業所は含まれない。短時間労働者まで含めた平均と比べれば、割合は別の値になる。
  • 時期が少しずれている。 年収の比較では、賃金は2025年6月分(賞与は2024年の1年分)、最低賃金は2026年度の額を使った。その後に賃金が上がっていれば、実際の割合はこれより低くなる。時給の比較は、2025年の賃金に2025年度の最低賃金を合わせている。
  • 割合が高いことは、地方の最低賃金が「高すぎる」ことを意味しない。 平均的な給料と最低賃金の距離が近い地域では、改定の影響を受ける働き手や事業者が相対的に多いと考えられる、という意味だ。

8. 自分の給料が最低賃金を下回っていないか、確かめる方法

時給制なら、時給と最低賃金を比べるだけで済む。月給制の場合は、時間当たりに直して比べる。厚生労働省が示している方法は次のとおりだ[10][9]。

  1. 最低賃金の対象にならない賃金を除く。 時間外・休日・深夜の割増賃金、通勤手当、家族手当、精皆勤手当、賞与など1か月を超える期間ごとに払われる賃金、結婚手当のような臨時の賃金は除く。職務手当などは除かない。
  2. 時間額に直す。 月給制なら「月給 ÷ 1か月平均所定労働時間」、日給制なら「日給 ÷ 1日の所定労働時間」。
  3. 適用される最低賃金と比べる。 働いている事業場がある都道府県の額を使う。派遣なら派遣先の都道府県の額だ。

たとえば、手当を除いた月給が20万円で、年間の所定労働時間が2,000時間(1か月平均166.7時間)の会社なら、時間額は約1,200円になる。この場合、2026年度の最低賃金では、東京都(1,280円)、神奈川県(1,279円)、大阪府(1,231円)では下回る。埼玉県(1,196円)以下の44道府県では上回る。月給20万円という額面だけを見て判断せず、所定労働時間で割って確かめることが大事だ。

最低賃金を下回っているおそれがある場合は、都道府県労働局や最寄りの労働基準監督署に相談できる[10]。

9. まとめ:差は縮んだが、暮らしの重さの差はむしろ大きい

  • 2026年度の最低賃金は、東京都の1,280円が最も高く、宮崎県の1,085円が最も低い。全国加重平均は1,177円で、前年度から56円(5.0%)上がった。
  • 最高と最低の差は195円、最低額は最高額の84.8%。地域の差は、率でも金額でもこの10年で最も小さい。 地方の県ほど目安を上乗せして上げており、下位18県は13円の幅に集まっている。
  • 発効日は10月1日から12月2日までばらばらで、2026年10月21日時点で新しい額になっているのは32都道府県。自分の都道府県の発効日を確かめたい。
  • フルタイム(年2,000時間)なら、年収の目安は東京256.0万円、全国235.4万円、宮崎217.0万円。ただし、家賃に回る割合は東京が月収の44.4%と突出して重く、地方は2割台半ば。
  • 平均的な給料と比べると、最低賃金は東京で推計年収の37.8%、青森で54.4%。 地方ほど最低賃金が平均に近く、毎年の改定が地域の賃金全体に与える影響は大きいと考えられる。

最低賃金の「高い・低い」は、時給の数字だけでは決まらない。家賃や平均的な給料と並べると、東京の最低賃金は高いのに暮らしは厳しく、地方の最低賃金は低いのに平均との距離は近い、という逆の姿が見えてくる。働く地域を選ぶときは、時給と一緒に家賃や手取りまで並べて比べたい。

この記事は情報提供を目的としたもので、特定の地域での就労や転居をすすめるものではありません。最低賃金の額と発効日は厚生労働省の公表資料(2026年10月時点)によります。年収・月収の目安、家賃や推計年収に対する割合、1,500円までの年数は、公表された統計から記事独自に計算した試算です。個別の賃金が最低賃金を満たしているかどうかは、都道府県労働局や労働基準監督署にご確認ください。

参考文献・出典

  1. [1]厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 全国一覧」(改定額・改定前の額・引上げ額・引上げ率・発効日)。掲載ページは「地域別最低賃金の全国一覧」。厚生労働省(PDF)/掲載ページ ↩
  2. [2]厚生労働省「平成14年度から令和8年度までの地域別最低賃金改定状況」(年度ごとの改定額と発効年月日、全国加重平均額)。厚生労働省(Excel) ↩
  3. [3]厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました~答申での全国加重平均額は昨年度から56円引上げの1,177円~」(2026年9月3日)。厚生労働省 ↩
  4. [4]厚生労働省「(別紙)令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」(ランク、目安額、目安差額、発効予定日)。厚生労働省(PDF) ↩
  5. [5]厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について~目安はAランク54円、Bランク56円、Cランク56円~」(2026年7月28日)および別添の中央最低賃金審議会答申。厚生労働省/プレスリリース(PDF) ↩
  6. [6]中央最低賃金審議会「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安に関する公益委員見解」(2026年7月28日、別紙1)。消費者物価指数、賃金の中央値・平均値に対する最低賃金の割合、OECDとEU指令の参照値、政府の1,500円目標の記述。厚生労働省(PDF) ↩
  7. [7]厚生労働省「最低賃金制度と地域別最低賃金額の改定に係る目安制度の概要」(目安答申の参考1)。厚生労働省(PDF) ↩
  8. [8]厚生労働省「地域別最低賃金の全国加重平均額と引上げ率の推移」(目安答申の参考3、平成28年度〜令和7年度)。厚生労働省(PDF) ↩
  9. [9]厚生労働省「最低賃金制度の概要」(適用される労働者の範囲、派遣労働者への適用、対象となる賃金)。厚生労働省 ↩
  10. [10]厚生労働省「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」(時間額への換算方法と計算例)。厚生労働省 ↩
  11. [11]厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」都道府県別 参考表1(47都道府県一覧)(2026年3月24日公表)。推計年収の計算は都道府県別の平均年収ランキング【2026年版】と同じ。e-Stat ↩
  12. [12]総務省「令和5年住宅・土地統計調査」住宅及び世帯に関する基本集計 第112-2表(民営借家の1か月当たり家賃)。都道府県別の値は家賃が安い・高い都道府県ランキング【2026年版】と同じ。e-Stat ↩

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