目次
空き家は、ニュースでは「全国で900万戸、過去最多」という形で伝えられることが多い。では、都道府県ごとに見るとどのくらい違うのか。空き家の多い県と少ない県はどこで、その中身は同じなのか。そもそも、統計でいう「空き家」には何が含まれているのか。
この記事では、総務省統計局の「住宅・土地統計調査」の最新結果(2023年10月1日時点)から、47都道府県の空き家率と空き家の数を並べた[1][6]。あわせて、入居者を募集中の賃貸住宅や売り出し中の住宅、別荘などを除いた空き家の率でも順位をつけた。こちらは順位が大きく入れ替わる。さらに、空き家の定義、1958年からの推移、地域差の移り変わり、空き家の中身、そして数字から読み取れることと読み取れないことを順に見ていく。
1. 結論:最も高いのは徳島県の21.3%、最も低いのは埼玉県の9.3%
- 全国の空き家は900万1600戸、空き家率は13.8%(2023年10月1日時点)。 2018年の前回調査より51万3000戸多く、数は過去最多、率も0.2ポイント上がって過去最高になった[1]。
- 都道府県別の空き家率は、徳島県(21.3%)、和歌山県(21.2%)、鹿児島県(20.5%)の順に高い。 20%を超えるのは、山梨県・高知県・長野県を加えた6県。最も低いのは埼玉県(9.3%)で、沖縄県(9.4%)、神奈川県(9.8%)が続く[1]。
- 空き家の数が最も多いのは東京都の89万6500戸。 率では44位だが、数では全国の空き家のおよそ1割を占める。
- 賃貸用・売却用の空き家と二次的住宅(別荘など)を除いた空き家の率では、1位が鹿児島県(13.6%)、47位が東京都(2.6%)。 静岡県(15位→37位)、栃木県(14位→34位)、山梨県(4位→18位)は順位が大きく下がり、秋田県(22位→8位)、鳥取県(24位→11位)は上がる。
- 全国の空き家の半分近く(49.3%)は賃貸用。 貸す・売る・別荘などの予定がない空き家は385万6000戸(42.8%)で、2018年から36万8800戸増えた[1]。
使った統計:総務省「住宅・土地統計調査」
住宅・土地統計調査は、総務省統計局が1948年から5年ごとに行っている調査で、2023年が16回目にあたる。全国から選んだ約340万の住戸・世帯を対象にした標本調査だ[2]。2023年の結果は、2024年4月30日に速報値、9月25日に確定値(住宅及び世帯に関する基本集計)が公表された[1]。
この記事の数字は確定値だ。都道府県別の総住宅数と空き家数、過去の推移は、e-Statで公開されている時系列統計表から取った[4][5][6]。
2. 「空き家」とは:住宅・土地統計調査が数えているもの
「空き家」という言葉は、使う場面によって指す範囲が違う。この統計の空き家は、荒れた一軒家だけを指すものではない。
「住宅」は、そのまま暮らせる一区画
この調査でいう「住宅」は、一戸建やアパートの一室のように、一つの世帯が独立して暮らせるように造られた区画だ。居住室、専用の台所、専用のトイレ、専用の出入口がそろっているものを指す。いわゆる「廃屋」は、そのままでは暮らせないので住宅に数えない[3]。
また、「人が住んでいる」とは、原則として調査日の時点で3か月以上住んでいるか、3か月以上住む予定であることをいう[3]。
空き家は「ふだん人が住んでいない住宅」。4つの種類がある
住宅のうち、ふだん人が住んでいないものが「居住世帯のない住宅」だ。ここから、昼間だけ使っている、何人かが交代で寝泊まりしているといった「一時現在者のみの住宅」と、「建築中の住宅」を除いたものが空き家になる。戸締まりができる段階まで建っていれば、内装が終わっていなくても空き家に数える[3]。
空き家は、次の4つに分かれる。
| 種類 | 内容 | 全国の戸数(空き家に占める割合) |
|---|---|---|
| 賃貸用の空き家 | 新築・中古を問わず、賃貸のために空いている住宅 | 443万5800戸(49.3%) |
| 売却用の空き家 | 新築・中古を問わず、売却のために空いている住宅 | 32万6200戸(3.6%) |
| 二次的住宅 | 別荘や、残業で遅くなったときに泊まるなど、たまに使う住宅 | 38万3500戸(4.3%) |
| 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 | 上のどれでもない空き家。転勤や入院で長く不在の住宅、建て替えで取り壊す予定の住宅など。種類の判断が難しい住宅も含む | 385万6000戸(42.8%) |
出典は、定義が「用語の解説」[3]、戸数が「結果の概要」[1]。
4つ目は、2018年の調査までは「その他の住宅」と呼ばれていた。2023年調査で名前と並び順を整理したもので、範囲は変わっていない[1]。名前が長いので、この記事では「賃貸・売却用などを除く空き家」と書く。
アパートの空き室も1戸ずつ数える
共同住宅や長屋建では、建物の中の一つ一つの住宅を1戸と数える[1]。10室のアパートで2室が空いていれば、空き家は2戸だ。空き家率は、空き家の数を総住宅数(人が住んでいる住宅と住んでいない住宅の合計)で割った割合になる。
法律の「空家等」とは範囲が違う
市区町村の空き家対策の根拠になる「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、「空家等」を、居住その他の使用がされていないことが常態である建築物とその敷地と定め、国や地方公共団体が持つものを除いている[14]。建物を単位にしているので、一室だけ空いているアパートは対象にならない。住宅・土地統計調査の空き家数は、この法律の対象になる建物の数とは別のものだ。
3. 47都道府県ランキング:上位は四国と和歌山県、鹿児島県、山梨県・長野県。下位は首都圏と沖縄県
| 順位 | 都道府県 | 空き家率 | 空き家数 | 2018年(順位) |
|---|---|---|---|---|
| ― | 全国 | 13.8% | 900万1600戸 | 13.6% |
| 1 | 徳島県 | 21.3% | 8万3000戸 | 19.5%(4位) |
| 2 | 和歌山県 | 21.2% | 10万5300戸 | 20.3%(2位) |
| 3 | 鹿児島県 | 20.5% | 18万4200戸 | 19.0%(6位) |
| 4 | 山梨県 | 20.4% | 8万7200戸 | 21.3%(1位) |
| 5 | 高知県 | 20.3% | 7万8700戸 | 19.1%(5位) |
| 6 | 長野県 | 20.1% | 20万8500戸 | 19.6%(3位) |
| 7 | 愛媛県 | 19.8% | 14万5600戸 | 18.2%(7位) |
| 8 | 山口県 | 19.4% | 14万700戸 | 17.6%(9位) |
| 9 | 大分県 | 19.1% | 11万5500戸 | 16.8%(11位) |
| 10 | 香川県 | 18.6% | 9万1500戸 | 18.1%(8位) |
| 11 | 岩手県 | 17.3% | 10万400戸 | 16.1%(14位) |
| 11 | 長崎県 | 17.3% | 11万3000戸 | 15.4%(18位) |
| 13 | 島根県 | 17.0% | 5万4600戸 | 15.4%(18位) |
| 14 | 栃木県 | 16.9% | 16万3700戸 | 17.3%(10位) |
| 15 | 青森県 | 16.7% | 9万8800戸 | 15.0%(24位) |
| 15 | 静岡県 | 16.7% | 29万6300戸 | 16.4%(13位) |
| 15 | 群馬県 | 16.7% | 16万1300戸 | 16.7%(12位) |
| 18 | 岡山県 | 16.5% | 15万7200戸 | 15.6%(15位) |
| 19 | 三重県 | 16.3% | 14万2700戸 | 15.2%(21位) |
| 19 | 宮崎県 | 16.3% | 9万700戸 | 15.4%(18位) |
| 21 | 岐阜県 | 16.1% | 14万8400戸 | 15.6%(15位) |
| 22 | 広島県 | 15.8% | 23万1400戸 | 15.1%(23位) |
| 22 | 秋田県 | 15.8% | 6万9500戸 | 13.6%(33位) |
| 24 | 鳥取県 | 15.7% | 4万1300戸 | 15.5%(17位) |
| 25 | 北海道 | 15.6% | 45万1900戸 | 13.5%(34位) |
| 25 | 石川県 | 15.6% | 8万6400戸 | 14.5%(27位) |
| 25 | 福井県 | 15.6% | 5万3100戸 | 13.8%(31位) |
| 28 | 新潟県 | 15.3% | 15万5300戸 | 14.7%(26位) |
| 29 | 福島県 | 15.2% | 13万1000戸 | 14.3%(28位) |
| 30 | 熊本県 | 14.9% | 12万7100戸 | 13.8%(31位) |
| 31 | 富山県 | 14.7% | 6万9700戸 | 13.3%(36位) |
| 32 | 奈良県 | 14.6% | 9万3600戸 | 14.1%(30位) |
| 33 | 佐賀県 | 14.5% | 5万3300戸 | 14.3%(28位) |
| 34 | 大阪府 | 14.2% | 70万1900戸 | 15.2%(21位) |
| 35 | 茨城県 | 14.1% | 19万6200戸 | 14.8%(25位) |
| 36 | 兵庫県 | 13.8% | 38万6900戸 | 13.4%(35位) |
| 37 | 山形県 | 13.5% | 6万1700戸 | 12.1%(41位) |
| 38 | 京都府 | 13.1% | 18万400戸 | 12.8%(38位) |
| 39 | 宮城県 | 12.4% | 14万300戸 | 12.0%(42位) |
| 39 | 福岡県 | 12.4% | 33万5300戸 | 12.7%(39位) |
| 41 | 千葉県 | 12.3% | 39万4100戸 | 12.6%(40位) |
| 41 | 滋賀県 | 12.3% | 8万1600戸 | 13.0%(37位) |
| 43 | 愛知県 | 11.8% | 43万3000戸 | 11.3%(43位) |
| 44 | 東京都 | 10.9% | 89万6500戸 | 10.6%(45位) |
| 45 | 神奈川県 | 9.8% | 46万7100戸 | 10.8%(44位) |
| 46 | 沖縄県 | 9.4% | 6万5400戸 | 10.4%(46位) |
| 47 | 埼玉県 | 9.3% | 33万400戸 | 10.2%(47位) |
空き家率は、時系列統計表 第3表の総住宅数と第4表の空き家数(都道府県は100戸単位)から計算し、小数第1位に四捨五入した。統計局の「結果の概要」付表の値と、47都道府県すべてで一致する[5][6][1]。順位は高い順で、同じ値は同順位にした。2018年の値と順位も同じ方法で出している。
20%を超えるのは6県。四国は4県とも10位以内
空き家率が20%以上なのは、徳島県、和歌山県、鹿児島県、山梨県、高知県、長野県の6県。住宅のおよそ5戸に1戸が空き家という計算になる。四国の4県(徳島県、高知県、愛媛県、香川県)はすべて上位10位に入る。全国(13.8%)を上回ったのは35道府県だった。
10%を下回るのは、埼玉県、沖縄県、神奈川県の3県。東京都(10.9%)、愛知県(11.8%)、千葉県・滋賀県(12.3%)も低い側にある。
地方別:四国は19.9%、関東は11.3%
地方ごとに総住宅数と空き家数を足し合わせて率を出すと(この記事での計算。三重県は近畿に含めた)、次のようになる。
- 四国:19.9%
- 中国:16.8%
- 北海道・東北:15.2%
- 中部:15.1%
- 九州・沖縄:14.8%
- 近畿:14.4%
- 関東:11.3%
同じ地方の中でも差は大きい。九州・沖縄では鹿児島県が20.5%の一方、沖縄県は9.4%、福岡県は12.4%だ。
空き家の「数」は東京都が最も多い
率ではなく数で並べると、最も多いのは東京都(89万6500戸)で、大阪府(70万1900戸)、神奈川県(46万7100戸)、北海道(45万1900戸)、愛知県(43万3000戸)が続く。この5都道府県で、全国の空き家の32.8%を占める。最も少ないのは鳥取県の4万1300戸だった。住宅そのものが多い大都市圏では、率が低くても空き家の数は多くなる。
4. 賃貸・売却用などを除くと:1位は鹿児島県、47位は東京都
空き家率には、入居者を募集中の賃貸住宅や売り出し中の住宅、別荘などの二次的住宅も含まれる。長野県と山梨県は、総住宅数に占める二次的住宅の割合が全国で最も高い。
ここまでの空き家率には、入居者を募集している賃貸住宅、売り出し中の住宅、別荘なども含まれている。そこで、それらを除いた「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」が総住宅数に占める割合でも並べた。
| 順位 | 都道府県 | 賃貸・売却用等を除く空き家率 | 同・戸数 | 空き家率の順位 |
|---|---|---|---|---|
| ― | 全国 | 5.9% | 385万6000戸 | ― |
| 1 | 鹿児島県 | 13.6% | 12万2200戸 | 3位 |
| 2 | 高知県 | 12.9% | 5万100戸 | 5位 |
| 3 | 徳島県 | 12.2% | 4万7600戸 | 1位 |
| 3 | 愛媛県 | 12.2% | 9万100戸 | 7位 |
| 5 | 和歌山県 | 12.1% | 5万9800戸 | 2位 |
| 6 | 島根県 | 11.3% | 3万6300戸 | 13位 |
| 7 | 山口県 | 11.1% | 8万500戸 | 8位 |
| 8 | 秋田県 | 10.0% | 4万3900戸 | 22位 |
| 9 | 長崎県 | 9.9% | 6万4900戸 | 11位 |
| 9 | 宮崎県 | 9.9% | 5万5000戸 | 19位 |
| 11 | 香川県 | 9.7% | 4万7900戸 | 10位 |
| 11 | 鳥取県 | 9.7% | 2万5400戸 | 24位 |
| 13 | 大分県 | 9.6% | 5万8000戸 | 9位 |
| 14 | 三重県 | 9.5% | 8万3100戸 | 19位 |
| 15 | 岩手県 | 9.3% | 5万4100戸 | 11位 |
| 15 | 青森県 | 9.3% | 5万5000戸 | 15位 |
| 17 | 長野県 | 8.9% | 9万2300戸 | 6位 |
| 18 | 山梨県 | 8.7% | 3万7200戸 | 4位 |
| 19 | 岡山県 | 8.6% | 8万2600戸 | 18位 |
| 20 | 福井県 | 8.5% | 2万8900戸 | 25位 |
| 21 | 富山県 | 8.4% | 3万9800戸 | 31位 |
| 22 | 岐阜県 | 8.1% | 7万4400戸 | 21位 |
| 23 | 山形県 | 7.9% | 3万5900戸 | 37位 |
| 24 | 広島県 | 7.8% | 11万4700戸 | 22位 |
| 25 | 奈良県 | 7.7% | 4万9500戸 | 32位 |
| 25 | 佐賀県 | 7.7% | 2万8300戸 | 33位 |
| 27 | 熊本県 | 7.6% | 6万5000戸 | 30位 |
| 27 | 新潟県 | 7.6% | 7万7500戸 | 28位 |
| 27 | 群馬県 | 7.6% | 7万3100戸 | 15位 |
| 30 | 石川県 | 7.3% | 4万700戸 | 25位 |
| 30 | 滋賀県 | 7.3% | 4万8500戸 | 41位 |
| 30 | 福島県 | 7.3% | 6万2600戸 | 29位 |
| 33 | 茨城県 | 6.7% | 9万3200戸 | 35位 |
| 34 | 栃木県 | 6.6% | 6万4300戸 | 14位 |
| 35 | 京都府 | 6.2% | 8万4900戸 | 38位 |
| 35 | 兵庫県 | 6.2% | 17万2700戸 | 36位 |
| 37 | 静岡県 | 5.9% | 10万4800戸 | 15位 |
| 38 | 北海道 | 5.6% | 16万3000戸 | 25位 |
| 39 | 千葉県 | 5.0% | 15万8500戸 | 41位 |
| 40 | 福岡県 | 4.6% | 12万5500戸 | 39位 |
| 40 | 宮城県 | 4.6% | 5万2000戸 | 39位 |
| 40 | 大阪府 | 4.6% | 22万6900戸 | 34位 |
| 43 | 愛知県 | 4.3% | 15万6000戸 | 43位 |
| 44 | 沖縄県 | 4.0% | 2万8100戸 | 46位 |
| 45 | 埼玉県 | 3.8% | 13万5800戸 | 47位 |
| 46 | 神奈川県 | 3.2% | 15万1000戸 | 45位 |
| 47 | 東京都 | 2.6% | 21万4200戸 | 44位 |
計算方法と出典は上の表と同じで、付表の公表値と47都道府県すべてで一致する[5][6][1]。
上位はほぼ同じ顔ぶれ。中ほどで大きく入れ替わる
上位は鹿児島県(13.6%)、高知県(12.9%)、徳島県・愛媛県(12.2%)、和歌山県(12.1%)で、空き家率の上位とおおむね重なる。10%以上は8県で、島根県、山口県、秋田県も入る。2つの順位の順位相関係数は0.84で(この記事での計算)、全体としては似た並びだ。
それでも、順位が大きく動く県がある。
- 下がる県:静岡県(15位→37位)、栃木県(14位→34位)、北海道(25位→38位)、山梨県(4位→18位)、群馬県(15位→27位)、長野県(6位→17位)
- 上がる県:秋田県(22位→8位)、鳥取県(24位→11位)、山形県(37位→23位)、滋賀県(41位→30位)、宮崎県(19位→9位)、富山県(31位→21位)
山梨県・長野県・静岡県は二次的住宅、北海道は賃貸用が多い
順位が下がる県の多くは、賃貸用の空き家か二次的住宅が多い。総住宅数に占める二次的住宅の割合は、長野県が5.4%(5万6000戸)、山梨県が4.0%(1万7100戸)、静岡県が2.2%(3万8500戸)で、全国の0.6%を大きく上回る[6]。二次的住宅には、別荘のほか、ふだんの家とは別にたまに寝泊まりする住宅も含まれる[3]。
総住宅数に占める賃貸用の空き家の割合は、北海道(9.0%)、大阪府(8.8%)、静岡県・大分県(8.1%)、徳島県(8.0%)、栃木県(7.9%)が高い。
東京都の空き家は7割が賃貸用
空き家の中身は、大都市と地方ではっきり違う。東京都では、空き家89万6500戸の70.2%が賃貸用で、賃貸・売却用などを除く空き家は21万4200戸、総住宅数の2.6%にとどまる。賃貸用の割合は、大阪府(62.1%)、神奈川県(59.7%)、愛知県(58.2%)も高い。
反対に、空き家全体に占める賃貸・売却用などを除く空き家の割合が高いのは、島根県(66.5%)、鹿児島県(66.3%)、高知県(63.7%)、秋田県(63.2%)だ。
賃貸用の空き家には、入居者が入れ替わる間の空室も含まれる。賃貸住宅の多い大都市ほど、この種類の空き家は数が多くなりやすい。どちらの率を見るかで、同じ県の見え方が変わる。
5. 1958年からの推移:2.0%から13.8%へ。住宅の数が世帯の数を上回ったのは1968年
全国の総住宅数は1958年の1793万戸から2023年の6505万戸に増えた。住宅の数は1968年に世帯の数を上回り、2023年は1世帯あたり1.16戸になる。
全国の空き家数がわかる1958年(1953年は市部だけの調査)、空き家は36万戸、空き家率は2.0%だった[4]。
| 年 | 総住宅数 | 空き家数 | 空き家率 | 賃貸・売却用等を除く空き家率 |
|---|---|---|---|---|
| 1958 | 1793万4000戸 | 36万戸 | 2.0% | ― |
| 1963 | 2109万戸 | 52万2000戸 | 2.5% | ― |
| 1968 | 2559万1200戸 | 103万4200戸 | 4.0% | ― |
| 1973 | 3105万8900戸 | 172万300戸 | 5.5% | ― |
| 1978 | 3545万500戸 | 267万9200戸 | 7.6% | 2.8% |
| 1983 | 3860万6800戸 | 330万1800戸 | 8.6% | 3.2% |
| 1988 | 4200万7300戸 | 394万400戸 | 9.4% | 3.1% |
| 1993 | 4587万8800戸 | 447万5800戸 | 9.8% | 3.2% |
| 1998 | 5024万6000戸 | 576万4100戸 | 11.5% | 3.6% |
| 2003 | 5389万900戸 | 659万3300戸 | 12.2% | 3.9% |
| 2008 | 5758万6000戸 | 756万7900戸 | 13.1% | 4.7% |
| 2013 | 6062万8600戸 | 819万5600戸 | 13.5% | 5.3% |
| 2018 | 6240万7400戸 | 848万8600戸 | 13.6% | 5.6% |
| 2023 | 6504万6700戸 | 900万1600戸 | 13.8% | 5.9% |
出典は時系列統計表 第1-1表[4]。1958〜1968年は沖縄県を含まない。賃貸・売却用などを除く空き家は、種類別に比べられる1978年からの値[1]。率は実数からこの記事で計算したもので、統計局の公表値と一致する。
空き家率は1960〜1970年代に急に上がり、1998年に1割を超えた。2003年以降は12.2%、13.1%、13.5%、13.6%、13.8%と、上がり方はゆるやかになっている。一方で空き家の数は一度も減っておらず、1993年から2023年までの30年でおよそ2倍になった[1]。
増えているのは、賃貸・売却用などを除く空き家
内訳を見ると、1978年に97万6600戸だった賃貸・売却用などを除く空き家は、2023年には385万6000戸と約4倍になった。総住宅数に占める割合は2.8%から5.9%へ上がっている[4]。
2018年から2023年に増えた空き家51万3000戸のうち、36万8800戸がこの種類だった。賃貸用の空き家も10万8600戸増えたが、空き家全体に占める割合は51.0%から49.3%に下がった[1]。
住宅は世帯より約883万戸多い
時系列統計表 第3表で住宅の数と世帯の数を比べると、全国で住宅数が世帯数を上回ったのは1968年だ(住宅2559万1200戸、世帯2531万9900世帯)。1973年には、全ての都道府県で住宅数が世帯数を上回った[5]。
2023年は、住宅6504万6700戸に対して世帯5621万5300世帯で、1世帯あたり1.16戸になる。差は約883万戸で、空き家の数(900万1600戸)に近い。住宅が世帯より多い状態が続く中で、空き家の数も増えてきた。
6. 地域差の移り変わり:差は広がり、2018年から上がったのは36道府県
都道府県の空き家率は、調査の年ごとに順位の顔ぶれが変わってきた[5][6]。
| 年 | 全国 | 最も高い県 | 最も低い県 |
|---|---|---|---|
| 1958 | 2.0% | 和歌山県 2.9% | 青森県、山形県 0.9% |
| 1973 | 5.5% | 千葉県 7.1% | 山形県 3.3% |
| 1988 | 9.4% | 高知県 13.4% | 山形県 5.3% |
| 1998 | 11.5% | 長野県 15.3% | 山形県 7.1% |
| 2008 | 13.1% | 山梨県 20.3% | 沖縄県 10.3% |
| 2018 | 13.6% | 山梨県 21.3% | 埼玉県 10.2% |
| 2023 | 13.8% | 徳島県 21.3% | 埼玉県 9.3% |
都道府県の値は第3表・第4表の実数からこの記事で計算した。1958年は沖縄県を含まない。古い年の都道府県の実数は丸めの単位が大きく、率の精度は低い。
1970年代には、千葉県(1973年)や大阪府(1978年)が最も高い年もあった。1983〜1993年は高知県、1998年は長野県、2003〜2018年は山梨県が最も高く、2023年は徳島県が1位になった。最も低い県は、山形県の年が多く(1968年、1973年、1988〜1998年)、2018年と2023年は埼玉県だった。
高い県と低い県の差は広がっている
最も高い県と低い県の差は、1998年の8.2ポイントから2023年は12.0ポイントになった。47都道府県の値のばらつき(標準偏差)も、1998年の1.62から2023年の3.04へ大きくなっている(いずれもこの記事での計算)。賃貸・売却用などを除く空き家の率では、最高と最低の差が1983年の3.8ポイントから2023年の11.0ポイントへ広がった。
2018年からの5年間
- 空き家率は36道府県で上昇、10府県で低下、群馬県は同じ値。 上げ幅が大きいのは大分県(16.8%→19.1%)、秋田県(13.6%→15.8%)、北海道(13.5%→15.6%)、長崎県(15.4%→17.3%)、福井県・山口県(1.8ポイント上昇)。下げ幅が大きいのは神奈川県・大阪府・沖縄県(1.0ポイント低下)、埼玉県・山梨県(0.9ポイント低下)だった。
- 空き家の数が減ったのは6府県。 神奈川県(1万7600戸減)、埼玉県(1万5800戸減)、大阪府(7500戸減)、山梨県(2800戸減)、沖縄県(2500戸減)、茨城県(1000戸減)。最も増えたのは東京都(8万6600戸増)で、北海道(7万2100戸増)、愛知県(3万9200戸増)が続く。
- 賃貸・売却用などを除く空き家の率は39都道府県で上昇。 上げ幅が大きいのは愛媛県(10.2%→12.2%)、徳島県(10.3%→12.2%)、青森県・鹿児島県(1.6ポイント上昇)。戸数が減ったのは福岡県(500戸減)だけで、高知県は同じ戸数、残る45都道府県で増えた。
25年前の1998年と比べると、賃貸・売却用などを除く空き家の率が大きく上がったのは、鹿児島県(6.9%→13.6%)、愛媛県(5.7%→12.2%)、徳島県(5.9%→12.2%)、和歌山県(6.2%→12.1%)。上がり方が小さいのは沖縄県(3.8%→4.0%)と東京都(2.1%→2.6%)だった。
7. 空き家の中身:一戸建の8割は貸す・売る予定のない空き家。世帯が持つ空き家の6割は相続
世帯が持つ空き家のうち、相続・贈与で取得したものは61.6%だった(調査票乙の集計)。ふだんは誰も住んでいなくても、手入れされている家もある。
一戸建と共同住宅では、空き家の種類がまったく違う
全国の空き家を建て方別に見ると、一戸建が352万3000戸(空き家の39.1%)、共同住宅が502万9000戸(55.9%)だった。一戸建の空き家の80.9%(285万1000戸)は賃貸・売却用などを除く空き家で、共同住宅の空き家の78.5%(394万7000戸)は賃貸用だ[1]。
統計局は参考分析で、共同住宅の賃貸用の空き家と賃貸・売却用などを除く空き家を合わせた479万4000戸について、同じ建物に住む世帯の情報などから持ち主の種類を推計している。民営が370万9000戸(77.4%)、公営・公社・給与住宅などの民営以外が91万5000戸(19.1%)だった[10]。一定の仮定を置いた推計値だ。
傷みのある空き家は17.6%
調査員が外から見て、壁や柱、屋根などに不具合がある住宅を「腐朽・破損あり」としている。外壁がところどころ落ちている、壁や基礎にひびがある、瓦が一部はずれている、といった状態だ[3]。
2023年の空き家のうち、腐朽・破損ありは158万4500戸で、空き家の17.6%、総住宅数の2.4%にあたる[7]。空き家に占める割合は、青森県(27.7%)、秋田県(27.2%)、徳島県(26.3%)、高知県(25.8%)、沖縄県(25.4%)が高く、東京都(11.7%)が最も低い(この記事での計算)。空き家の8割余りには、外から見てわかる傷みはない。
世帯が持つ空き家:6割は相続・贈与で取得
世帯が今の住まいとは別に持っている住宅についても調べている。空き家(居住世帯のない住宅)を持っている世帯は141万6000世帯で、主世帯の2.5%だった。持っている空き家を主な用途で分けると、貸家用・売却用・二次的住宅以外が47.5%を占める[1]。
より詳しい項目を調べた調査票乙(約50万住戸・世帯)[2]の集計で、この貸家用・売却用・二次的住宅以外の空き家(世帯所有空き家)を見ると、全国で78万9000件。取得方法は「相続・贈与」が48万6000件で61.6%を占め、1970年以前に建てられたものが44.6%だった[8][9]。人が住まなくなってからの期間は、5年未満が25.9%、20年以上が13.2%、「不明」が21.2%だった[9]。一つの世帯が複数持っている場合は3件目までを数えたもので、千戸単位の推計値だ。
8. 数字を読むときの注意:空き家率からわかること、わからないこと
標本調査なので、小さな差には誤差がある
住宅・土地統計調査は、約340万の住戸・世帯を調べて全体を推計している。統計局が示す標準誤差率は、全国の空き家数で0.35%、賃貸・売却用などを除く空き家数で0.36%だ[12]。推計の方法は「標本抽出方法及び結果の推定方法」にまとめられている[11]。
都道府県では、推定値が小さいほど誤差は大きくなる。空き家数が5万戸前後の県では、標準誤差率はおよそ2%ある[13]。実際に、速報値と確定値の間でも19都府県の空き家率が0.1〜0.2ポイント変わった[1]。0.1〜0.2ポイントしか違わない県どうしの順位には、大きな意味はない。
空き家かどうかは、主に外観などから判断している
空き家については、調査員が外観などから調べている[10]。建物についての調査票は、調査員が建物の外観を確認したり、世帯や管理者に確認したりして作る[1]。空き家の種類の判断が難しい住宅は、賃貸・売却用などを除く空き家に含まれる[3]。この種類の中には、実際には貸す予定や売る予定のある住宅が混じっている可能性がある。
5年に一度、10月1日の状態
数字は2023年10月1日時点のもので、次の調査は2028年に行われる予定だ。その間の増減は、この統計ではわからない。
空き家率は、地域の良し悪しを示すものではない
空き家率は総住宅数との比なので、住宅の建て方、賃貸住宅の多さ、別荘の多さ、新しく建つ住宅の数などで大きく変わる。率が高いからといって暮らしにくい地域とは限らず、低いからといって住宅に余裕がないとも限らない。数字は、地域の住宅の状況を知るための材料の一つだ。
家賃の都道府県ランキングでも、同じ住宅・土地統計調査から、都道府県ごとの家賃の違いを見ている。
この記事は公表された統計を紹介するもので、住宅の購入・売却や転居をすすめるものではありません。数値は、総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」(2024年9月25日公表の確定値、e-Statの時系列統計表・主要統計表は2025年9月30日公開)によります。都道府県の空き家率は公表された実数から計算し、統計局の公表値と一致することを確かめています。地方別の率、順位相関係数、標準偏差、腐朽・破損ありの割合、2018年・1998年からの変化は、この記事で計算したものです。
参考文献・出典
- [1]総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果の概要」(2024年9月25日公表)。2 空き家、9 現住居以外の住宅の所有状況、付表 都道府県別の主な指標、参考1 調査の概要、参考2 速報集計と確報集計の関係。総務省統計局(PDF) ↩
- [2]総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 調査の概要」(調査の目的及び沿革、調査の対象、抽出方法)。総務省統計局 ↩
- [3]総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 用語の解説」(住宅、居住世帯のない住宅、空き家の種類、腐朽・破損の有無、世帯所有空き家)。総務省統計局(PDF) ↩
- [4]総務省「令和5年住宅・土地統計調査」時系列統計表 第1-1表 居住世帯の有無(9区分)別住宅数及び建物の種類(6区分)別住宅以外で人が居住する建物数―全国(昭和23年~令和5年)(e-Stat、2025年9月30日公開)。e-Stat(Excel) ↩
- [5]総務省「令和5年住宅・土地統計調査」時系列統計表 第3表 住宅数及び世帯数―全国、3大都市圏、都道府県、大都市(昭和33年~令和5年)(e-Stat、2025年9月30日公開)。e-Stat(Excel) ↩
- [6]総務省「令和5年住宅・土地統計調査」時系列統計表 第4表 空き家の種類(4区分)、建て方(4区分)別空き家数―全国、3大都市圏、都道府県、大都市(昭和33年~令和5年)(e-Stat、2025年9月30日公開)。e-Stat(Excel) ↩
- [7]総務省「令和5年住宅・土地統計調査」主要統計表 第10表 腐朽・破損の有無(2区分)、建物の構造(4区分)別空き家数―全国、都道府県、21大都市(e-Stat、2025年9月30日公開)。e-Stat(Excel) ↩
- [8]総務省「令和5年住宅・土地統計調査」主要統計表 第35表 世帯所有空き家の建て方・取得方法・建築の時期、現住居の所有の関係別世帯所有空き家を所有する主世帯数及び所有件数<乙>―全国(e-Stat、2025年9月30日公開)。e-Stat(Excel) ↩
- [9]総務省「令和5年住宅・土地統計調査」主要統計表 第36表 世帯所有空き家の居住世帯のない期間、建築の時期、建て方、取得方法別主世帯が所有する世帯所有空き家の住宅数<乙>―全国(e-Stat、2025年9月30日公開)。e-Stat(Excel) ↩
- [10]総務省統計局「(参考分析)共同住宅の空き家についての分析-令和5年住宅・土地統計調査結果からの推計-」。総務省統計局(PDF) ↩
- [11]総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査の標本抽出方法及び結果の推定方法」。総務省統計局(PDF) ↩
- [12]総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」表2 主要項目別標準誤差率-全国(空き家 0.35%、賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 0.36%)。総務省統計局(PDF) ↩
- [13]総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」表1 推定値の大きさ別標準誤差率-都道府県、市区町村、大都市圏、都市圏、距離帯。総務省統計局(Excel) ↩
- [14]「空家等対策の推進に関する特別措置法」(平成26年法律第127号)第2条(定義)。e-Gov法令検索 ↩

NEW NOVEL 2026/08/01
曇りグラス
磨くってのは、力じゃない。
『世界が少し遠くなった』第二巻。前作の一年後を描く、ここからでも読める五つの短編です。
Amazonで読む
自叙伝ドットコム
あなたの人生は書く価値がある。
AIにだから語れる、本当の自分がある。記憶の断片を拾い集め、ひとつの物語へ。
覗いてみる関連記事
合計特殊出生率が高い・低い都道府県ランキング【最新版】最も高いのは沖縄県1.52、最も低いのは東京都0.96。全国は1.14で過去最低
厚生労働省「人口動態統計」から、47都道府県の合計特殊出生率を並べた。2025年は全国1.14で過去最低。最も高いのは沖縄県(1.52)、最も低いのは東京都(0.96)。都道府県別の2025年の値は概数で、確定値は2026年11月に公表予定。前年からの変化、1947年からの推移、出生数、東京都の数字の読み方、数字からわからないことまで見る。
平均初婚年齢が高い・低い都道府県ランキング【最新版】最も高いのは男女とも東京、最も低いのは島根。全国は夫31.0歳・妻29.7歳
厚生労働省「人口動態統計(確定数)」の最新版(令和7年、2026年9月公表)から、47都道府県の平均初婚年齢を夫・妻別に並べた。全国は夫31.0歳、妻29.7歳。最も高いのは男女とも東京都、最も低いのは男女とも島根県。1950年からの推移、地域差の変化、夫妻の年齢差、第1子の出生時の母の年齢もあわせて見る。
物価が高い・安い都道府県ランキング【最新版】1位東京104.2・最下位群馬96.2、家賃を除くと北海道が1位
総務省統計局「消費者物価地域差指数」の最新結果(2025年、2026年9月公表)から、47都道府県の物価水準を並べた。最も高いのは東京都の104.2、最も低いのは群馬県の96.2で、差は1.08倍。家賃を除くと北海道が1位になる。食料・住居・光熱・水道・教育など費目別の差、前年からの変化、平均年収と最低賃金を物価でならした比較も計算した。
平均寿命が長い都道府県ランキング【最新版】男性1位は滋賀、女性1位は岡山。最も短い青森との差は男性3.46年
厚生労働省「令和2年都道府県別生命表」(2022年12月公表、現時点の最新版)から、47都道府県の平均寿命を男女別に並べた。男性1位は滋賀県の82.73年、女性1位は岡山県の88.29年、男女とも最も短いのは青森県。年齢別の順位、1965年からの推移、健康寿命、全国の最新値(令和7年簡易生命表)もあわせて見る。
家賃が安い・高い都道府県ランキング【2026年版】東京は9.5万円で最下位の宮崎の2倍、1畳当たりでは2.8倍の差
総務省「住宅・土地統計調査」の最新結果(2023年)から、47都道府県の民営借家の1か月当たり家賃と1畳当たり家賃を並べた。1位は東京都の94,802円、最下位は宮崎県の46,290円。東京23区と区ごとの差、2018年からの変化、2026年8月の小売物価統計調査、年収に対する家賃の重さもあわせて見る。
ぽちょ研究所の実験

