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空き家率が高い・低い都道府県ランキング【最新版】1位は徳島県21.3%、最下位は埼玉県9.3%。賃貸用などを除くと鹿児島県が1位

総務省「住宅・土地統計調査」(2023年)から、47都道府県の空き家率と空き家の数を並べた。全国の空き家は900万1600戸、空き家率13.8%で過去最高。最も高いのは徳島県(21.3%)、最も低いのは埼玉県(9.3%)。賃貸・売却用と別荘などを除いた空き家の率では鹿児島県が1位、東京都が47位になる。空き家の定義、1958年からの推移、地域差の移り変わり、標本調査の限界まで見る。

秋の晴れた午前、石段の坂道に沿って家々が並び、その中に柿の実る小さな庭と雨戸を閉めた手入れの行き届いた木造の家があるAI生成画像
ライフスタイル
公開日: 2026年10月21日
読了時間: 25 分
著者: ぽちょ研究所
読了時間: 25 分

空き家は、ニュースでは「全国で900万戸、過去最多」という形で伝えられることが多い。では、都道府県ごとに見るとどのくらい違うのか。空き家の多い県と少ない県はどこで、その中身は同じなのか。そもそも、統計でいう「空き家」には何が含まれているのか。

この記事では、総務省統計局の「住宅・土地統計調査」の最新結果(2023年10月1日時点)から、47都道府県の空き家率と空き家の数を並べた[1][6]。あわせて、入居者を募集中の賃貸住宅や売り出し中の住宅、別荘などを除いた空き家の率でも順位をつけた。こちらは順位が大きく入れ替わる。さらに、空き家の定義、1958年からの推移、地域差の移り変わり、空き家の中身、そして数字から読み取れることと読み取れないことを順に見ていく。

1. 結論:最も高いのは徳島県の21.3%、最も低いのは埼玉県の9.3%

  • 全国の空き家は900万1600戸、空き家率は13.8%(2023年10月1日時点)。 2018年の前回調査より51万3000戸多く、数は過去最多、率も0.2ポイント上がって過去最高になった[1]。
  • 都道府県別の空き家率は、徳島県(21.3%)、和歌山県(21.2%)、鹿児島県(20.5%)の順に高い。 20%を超えるのは、山梨県・高知県・長野県を加えた6県。最も低いのは埼玉県(9.3%)で、沖縄県(9.4%)、神奈川県(9.8%)が続く[1]。
  • 空き家の数が最も多いのは東京都の89万6500戸。 率では44位だが、数では全国の空き家のおよそ1割を占める。
  • 賃貸用・売却用の空き家と二次的住宅(別荘など)を除いた空き家の率では、1位が鹿児島県(13.6%)、47位が東京都(2.6%)。 静岡県(15位→37位)、栃木県(14位→34位)、山梨県(4位→18位)は順位が大きく下がり、秋田県(22位→8位)、鳥取県(24位→11位)は上がる。
  • 全国の空き家の半分近く(49.3%)は賃貸用。 貸す・売る・別荘などの予定がない空き家は385万6000戸(42.8%)で、2018年から36万8800戸増えた[1]。

使った統計:総務省「住宅・土地統計調査」

住宅・土地統計調査は、総務省統計局が1948年から5年ごとに行っている調査で、2023年が16回目にあたる。全国から選んだ約340万の住戸・世帯を対象にした標本調査だ[2]。2023年の結果は、2024年4月30日に速報値、9月25日に確定値(住宅及び世帯に関する基本集計)が公表された[1]。

この記事の数字は確定値だ。都道府県別の総住宅数と空き家数、過去の推移は、e-Statで公開されている時系列統計表から取った[4][5][6]。

2. 「空き家」とは:住宅・土地統計調査が数えているもの

「空き家」という言葉は、使う場面によって指す範囲が違う。この統計の空き家は、荒れた一軒家だけを指すものではない。

「住宅」は、そのまま暮らせる一区画

この調査でいう「住宅」は、一戸建やアパートの一室のように、一つの世帯が独立して暮らせるように造られた区画だ。居住室、専用の台所、専用のトイレ、専用の出入口がそろっているものを指す。いわゆる「廃屋」は、そのままでは暮らせないので住宅に数えない[3]。

また、「人が住んでいる」とは、原則として調査日の時点で3か月以上住んでいるか、3か月以上住む予定であることをいう[3]。

空き家は「ふだん人が住んでいない住宅」。4つの種類がある

住宅のうち、ふだん人が住んでいないものが「居住世帯のない住宅」だ。ここから、昼間だけ使っている、何人かが交代で寝泊まりしているといった「一時現在者のみの住宅」と、「建築中の住宅」を除いたものが空き家になる。戸締まりができる段階まで建っていれば、内装が終わっていなくても空き家に数える[3]。

空き家は、次の4つに分かれる。

種類内容全国の戸数(空き家に占める割合)
賃貸用の空き家新築・中古を問わず、賃貸のために空いている住宅443万5800戸(49.3%)
売却用の空き家新築・中古を問わず、売却のために空いている住宅32万6200戸(3.6%)
二次的住宅別荘や、残業で遅くなったときに泊まるなど、たまに使う住宅38万3500戸(4.3%)
賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家上のどれでもない空き家。転勤や入院で長く不在の住宅、建て替えで取り壊す予定の住宅など。種類の判断が難しい住宅も含む385万6000戸(42.8%)

出典は、定義が「用語の解説」[3]、戸数が「結果の概要」[1]。

4つ目は、2018年の調査までは「その他の住宅」と呼ばれていた。2023年調査で名前と並び順を整理したもので、範囲は変わっていない[1]。名前が長いので、この記事では「賃貸・売却用などを除く空き家」と書く。

アパートの空き室も1戸ずつ数える

共同住宅や長屋建では、建物の中の一つ一つの住宅を1戸と数える[1]。10室のアパートで2室が空いていれば、空き家は2戸だ。空き家率は、空き家の数を総住宅数(人が住んでいる住宅と住んでいない住宅の合計)で割った割合になる。

法律の「空家等」とは範囲が違う

市区町村の空き家対策の根拠になる「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、「空家等」を、居住その他の使用がされていないことが常態である建築物とその敷地と定め、国や地方公共団体が持つものを除いている[14]。建物を単位にしているので、一室だけ空いているアパートは対象にならない。住宅・土地統計調査の空き家数は、この法律の対象になる建物の数とは別のものだ。

3. 47都道府県ランキング:上位は四国と和歌山県、鹿児島県、山梨県・長野県。下位は首都圏と沖縄県

順位都道府県空き家率空き家数2018年(順位)
―全国13.8%900万1600戸13.6%
1徳島県21.3%8万3000戸19.5%(4位)
2和歌山県21.2%10万5300戸20.3%(2位)
3鹿児島県20.5%18万4200戸19.0%(6位)
4山梨県20.4%8万7200戸21.3%(1位)
5高知県20.3%7万8700戸19.1%(5位)
6長野県20.1%20万8500戸19.6%(3位)
7愛媛県19.8%14万5600戸18.2%(7位)
8山口県19.4%14万700戸17.6%(9位)
9大分県19.1%11万5500戸16.8%(11位)
10香川県18.6%9万1500戸18.1%(8位)
11岩手県17.3%10万400戸16.1%(14位)
11長崎県17.3%11万3000戸15.4%(18位)
13島根県17.0%5万4600戸15.4%(18位)
14栃木県16.9%16万3700戸17.3%(10位)
15青森県16.7%9万8800戸15.0%(24位)
15静岡県16.7%29万6300戸16.4%(13位)
15群馬県16.7%16万1300戸16.7%(12位)
18岡山県16.5%15万7200戸15.6%(15位)
19三重県16.3%14万2700戸15.2%(21位)
19宮崎県16.3%9万700戸15.4%(18位)
21岐阜県16.1%14万8400戸15.6%(15位)
22広島県15.8%23万1400戸15.1%(23位)
22秋田県15.8%6万9500戸13.6%(33位)
24鳥取県15.7%4万1300戸15.5%(17位)
25北海道15.6%45万1900戸13.5%(34位)
25石川県15.6%8万6400戸14.5%(27位)
25福井県15.6%5万3100戸13.8%(31位)
28新潟県15.3%15万5300戸14.7%(26位)
29福島県15.2%13万1000戸14.3%(28位)
30熊本県14.9%12万7100戸13.8%(31位)
31富山県14.7%6万9700戸13.3%(36位)
32奈良県14.6%9万3600戸14.1%(30位)
33佐賀県14.5%5万3300戸14.3%(28位)
34大阪府14.2%70万1900戸15.2%(21位)
35茨城県14.1%19万6200戸14.8%(25位)
36兵庫県13.8%38万6900戸13.4%(35位)
37山形県13.5%6万1700戸12.1%(41位)
38京都府13.1%18万400戸12.8%(38位)
39宮城県12.4%14万300戸12.0%(42位)
39福岡県12.4%33万5300戸12.7%(39位)
41千葉県12.3%39万4100戸12.6%(40位)
41滋賀県12.3%8万1600戸13.0%(37位)
43愛知県11.8%43万3000戸11.3%(43位)
44東京都10.9%89万6500戸10.6%(45位)
45神奈川県9.8%46万7100戸10.8%(44位)
46沖縄県9.4%6万5400戸10.4%(46位)
47埼玉県9.3%33万400戸10.2%(47位)

空き家率は、時系列統計表 第3表の総住宅数と第4表の空き家数(都道府県は100戸単位)から計算し、小数第1位に四捨五入した。統計局の「結果の概要」付表の値と、47都道府県すべてで一致する[5][6][1]。順位は高い順で、同じ値は同順位にした。2018年の値と順位も同じ方法で出している。

20%を超えるのは6県。四国は4県とも10位以内

空き家率が20%以上なのは、徳島県、和歌山県、鹿児島県、山梨県、高知県、長野県の6県。住宅のおよそ5戸に1戸が空き家という計算になる。四国の4県(徳島県、高知県、愛媛県、香川県)はすべて上位10位に入る。全国(13.8%)を上回ったのは35道府県だった。

10%を下回るのは、埼玉県、沖縄県、神奈川県の3県。東京都(10.9%)、愛知県(11.8%)、千葉県・滋賀県(12.3%)も低い側にある。

地方別:四国は19.9%、関東は11.3%

地方ごとに総住宅数と空き家数を足し合わせて率を出すと(この記事での計算。三重県は近畿に含めた)、次のようになる。

  • 四国:19.9%
  • 中国:16.8%
  • 北海道・東北:15.2%
  • 中部:15.1%
  • 九州・沖縄:14.8%
  • 近畿:14.4%
  • 関東:11.3%

同じ地方の中でも差は大きい。九州・沖縄では鹿児島県が20.5%の一方、沖縄県は9.4%、福岡県は12.4%だ。

空き家の「数」は東京都が最も多い

率ではなく数で並べると、最も多いのは東京都(89万6500戸)で、大阪府(70万1900戸)、神奈川県(46万7100戸)、北海道(45万1900戸)、愛知県(43万3000戸)が続く。この5都道府県で、全国の空き家の32.8%を占める。最も少ないのは鳥取県の4万1300戸だった。住宅そのものが多い大都市圏では、率が低くても空き家の数は多くなる。

4. 賃貸・売却用などを除くと:1位は鹿児島県、47位は東京都

初夏のカラマツ林の中に、雨戸を閉めた木造の山小屋風の別荘が静かに建っている様子のAI生成画像

空き家率には、入居者を募集中の賃貸住宅や売り出し中の住宅、別荘などの二次的住宅も含まれる。長野県と山梨県は、総住宅数に占める二次的住宅の割合が全国で最も高い。

ここまでの空き家率には、入居者を募集している賃貸住宅、売り出し中の住宅、別荘なども含まれている。そこで、それらを除いた「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」が総住宅数に占める割合でも並べた。

順位都道府県賃貸・売却用等を除く空き家率同・戸数空き家率の順位
―全国5.9%385万6000戸―
1鹿児島県13.6%12万2200戸3位
2高知県12.9%5万100戸5位
3徳島県12.2%4万7600戸1位
3愛媛県12.2%9万100戸7位
5和歌山県12.1%5万9800戸2位
6島根県11.3%3万6300戸13位
7山口県11.1%8万500戸8位
8秋田県10.0%4万3900戸22位
9長崎県9.9%6万4900戸11位
9宮崎県9.9%5万5000戸19位
11香川県9.7%4万7900戸10位
11鳥取県9.7%2万5400戸24位
13大分県9.6%5万8000戸9位
14三重県9.5%8万3100戸19位
15岩手県9.3%5万4100戸11位
15青森県9.3%5万5000戸15位
17長野県8.9%9万2300戸6位
18山梨県8.7%3万7200戸4位
19岡山県8.6%8万2600戸18位
20福井県8.5%2万8900戸25位
21富山県8.4%3万9800戸31位
22岐阜県8.1%7万4400戸21位
23山形県7.9%3万5900戸37位
24広島県7.8%11万4700戸22位
25奈良県7.7%4万9500戸32位
25佐賀県7.7%2万8300戸33位
27熊本県7.6%6万5000戸30位
27新潟県7.6%7万7500戸28位
27群馬県7.6%7万3100戸15位
30石川県7.3%4万700戸25位
30滋賀県7.3%4万8500戸41位
30福島県7.3%6万2600戸29位
33茨城県6.7%9万3200戸35位
34栃木県6.6%6万4300戸14位
35京都府6.2%8万4900戸38位
35兵庫県6.2%17万2700戸36位
37静岡県5.9%10万4800戸15位
38北海道5.6%16万3000戸25位
39千葉県5.0%15万8500戸41位
40福岡県4.6%12万5500戸39位
40宮城県4.6%5万2000戸39位
40大阪府4.6%22万6900戸34位
43愛知県4.3%15万6000戸43位
44沖縄県4.0%2万8100戸46位
45埼玉県3.8%13万5800戸47位
46神奈川県3.2%15万1000戸45位
47東京都2.6%21万4200戸44位

計算方法と出典は上の表と同じで、付表の公表値と47都道府県すべてで一致する[5][6][1]。

上位はほぼ同じ顔ぶれ。中ほどで大きく入れ替わる

上位は鹿児島県(13.6%)、高知県(12.9%)、徳島県・愛媛県(12.2%)、和歌山県(12.1%)で、空き家率の上位とおおむね重なる。10%以上は8県で、島根県、山口県、秋田県も入る。2つの順位の順位相関係数は0.84で(この記事での計算)、全体としては似た並びだ。

それでも、順位が大きく動く県がある。

  • 下がる県:静岡県(15位→37位)、栃木県(14位→34位)、北海道(25位→38位)、山梨県(4位→18位)、群馬県(15位→27位)、長野県(6位→17位)
  • 上がる県:秋田県(22位→8位)、鳥取県(24位→11位)、山形県(37位→23位)、滋賀県(41位→30位)、宮崎県(19位→9位)、富山県(31位→21位)

山梨県・長野県・静岡県は二次的住宅、北海道は賃貸用が多い

順位が下がる県の多くは、賃貸用の空き家か二次的住宅が多い。総住宅数に占める二次的住宅の割合は、長野県が5.4%(5万6000戸)、山梨県が4.0%(1万7100戸)、静岡県が2.2%(3万8500戸)で、全国の0.6%を大きく上回る[6]。二次的住宅には、別荘のほか、ふだんの家とは別にたまに寝泊まりする住宅も含まれる[3]。

総住宅数に占める賃貸用の空き家の割合は、北海道(9.0%)、大阪府(8.8%)、静岡県・大分県(8.1%)、徳島県(8.0%)、栃木県(7.9%)が高い。

東京都の空き家は7割が賃貸用

空き家の中身は、大都市と地方ではっきり違う。東京都では、空き家89万6500戸の70.2%が賃貸用で、賃貸・売却用などを除く空き家は21万4200戸、総住宅数の2.6%にとどまる。賃貸用の割合は、大阪府(62.1%)、神奈川県(59.7%)、愛知県(58.2%)も高い。

反対に、空き家全体に占める賃貸・売却用などを除く空き家の割合が高いのは、島根県(66.5%)、鹿児島県(66.3%)、高知県(63.7%)、秋田県(63.2%)だ。

賃貸用の空き家には、入居者が入れ替わる間の空室も含まれる。賃貸住宅の多い大都市ほど、この種類の空き家は数が多くなりやすい。どちらの率を見るかで、同じ県の見え方が変わる。

5. 1958年からの推移:2.0%から13.8%へ。住宅の数が世帯の数を上回ったのは1968年

春の朝の住宅街で、建てられた年代の違う一戸建てが4軒、通りに沿って並んでいる様子を正面から写したAI生成画像

全国の総住宅数は1958年の1793万戸から2023年の6505万戸に増えた。住宅の数は1968年に世帯の数を上回り、2023年は1世帯あたり1.16戸になる。

全国の空き家数がわかる1958年(1953年は市部だけの調査)、空き家は36万戸、空き家率は2.0%だった[4]。

年総住宅数空き家数空き家率賃貸・売却用等を除く空き家率
19581793万4000戸36万戸2.0%―
19632109万戸52万2000戸2.5%―
19682559万1200戸103万4200戸4.0%―
19733105万8900戸172万300戸5.5%―
19783545万500戸267万9200戸7.6%2.8%
19833860万6800戸330万1800戸8.6%3.2%
19884200万7300戸394万400戸9.4%3.1%
19934587万8800戸447万5800戸9.8%3.2%
19985024万6000戸576万4100戸11.5%3.6%
20035389万900戸659万3300戸12.2%3.9%
20085758万6000戸756万7900戸13.1%4.7%
20136062万8600戸819万5600戸13.5%5.3%
20186240万7400戸848万8600戸13.6%5.6%
20236504万6700戸900万1600戸13.8%5.9%

出典は時系列統計表 第1-1表[4]。1958〜1968年は沖縄県を含まない。賃貸・売却用などを除く空き家は、種類別に比べられる1978年からの値[1]。率は実数からこの記事で計算したもので、統計局の公表値と一致する。

空き家率は1960〜1970年代に急に上がり、1998年に1割を超えた。2003年以降は12.2%、13.1%、13.5%、13.6%、13.8%と、上がり方はゆるやかになっている。一方で空き家の数は一度も減っておらず、1993年から2023年までの30年でおよそ2倍になった[1]。

増えているのは、賃貸・売却用などを除く空き家

内訳を見ると、1978年に97万6600戸だった賃貸・売却用などを除く空き家は、2023年には385万6000戸と約4倍になった。総住宅数に占める割合は2.8%から5.9%へ上がっている[4]。

2018年から2023年に増えた空き家51万3000戸のうち、36万8800戸がこの種類だった。賃貸用の空き家も10万8600戸増えたが、空き家全体に占める割合は51.0%から49.3%に下がった[1]。

住宅は世帯より約883万戸多い

時系列統計表 第3表で住宅の数と世帯の数を比べると、全国で住宅数が世帯数を上回ったのは1968年だ(住宅2559万1200戸、世帯2531万9900世帯)。1973年には、全ての都道府県で住宅数が世帯数を上回った[5]。

2023年は、住宅6504万6700戸に対して世帯5621万5300世帯で、1世帯あたり1.16戸になる。差は約883万戸で、空き家の数(900万1600戸)に近い。住宅が世帯より多い状態が続く中で、空き家の数も増えてきた。

6. 地域差の移り変わり:差は広がり、2018年から上がったのは36道府県

都道府県の空き家率は、調査の年ごとに順位の顔ぶれが変わってきた[5][6]。

年全国最も高い県最も低い県
19582.0%和歌山県 2.9%青森県、山形県 0.9%
19735.5%千葉県 7.1%山形県 3.3%
19889.4%高知県 13.4%山形県 5.3%
199811.5%長野県 15.3%山形県 7.1%
200813.1%山梨県 20.3%沖縄県 10.3%
201813.6%山梨県 21.3%埼玉県 10.2%
202313.8%徳島県 21.3%埼玉県 9.3%

都道府県の値は第3表・第4表の実数からこの記事で計算した。1958年は沖縄県を含まない。古い年の都道府県の実数は丸めの単位が大きく、率の精度は低い。

1970年代には、千葉県(1973年)や大阪府(1978年)が最も高い年もあった。1983〜1993年は高知県、1998年は長野県、2003〜2018年は山梨県が最も高く、2023年は徳島県が1位になった。最も低い県は、山形県の年が多く(1968年、1973年、1988〜1998年)、2018年と2023年は埼玉県だった。

高い県と低い県の差は広がっている

最も高い県と低い県の差は、1998年の8.2ポイントから2023年は12.0ポイントになった。47都道府県の値のばらつき(標準偏差)も、1998年の1.62から2023年の3.04へ大きくなっている(いずれもこの記事での計算)。賃貸・売却用などを除く空き家の率では、最高と最低の差が1983年の3.8ポイントから2023年の11.0ポイントへ広がった。

2018年からの5年間

  • 空き家率は36道府県で上昇、10府県で低下、群馬県は同じ値。 上げ幅が大きいのは大分県(16.8%→19.1%)、秋田県(13.6%→15.8%)、北海道(13.5%→15.6%)、長崎県(15.4%→17.3%)、福井県・山口県(1.8ポイント上昇)。下げ幅が大きいのは神奈川県・大阪府・沖縄県(1.0ポイント低下)、埼玉県・山梨県(0.9ポイント低下)だった。
  • 空き家の数が減ったのは6府県。 神奈川県(1万7600戸減)、埼玉県(1万5800戸減)、大阪府(7500戸減)、山梨県(2800戸減)、沖縄県(2500戸減)、茨城県(1000戸減)。最も増えたのは東京都(8万6600戸増)で、北海道(7万2100戸増)、愛知県(3万9200戸増)が続く。
  • 賃貸・売却用などを除く空き家の率は39都道府県で上昇。 上げ幅が大きいのは愛媛県(10.2%→12.2%)、徳島県(10.3%→12.2%)、青森県・鹿児島県(1.6ポイント上昇)。戸数が減ったのは福岡県(500戸減)だけで、高知県は同じ戸数、残る45都道府県で増えた。

25年前の1998年と比べると、賃貸・売却用などを除く空き家の率が大きく上がったのは、鹿児島県(6.9%→13.6%)、愛媛県(5.7%→12.2%)、徳島県(5.9%→12.2%)、和歌山県(6.2%→12.1%)。上がり方が小さいのは沖縄県(3.8%→4.0%)と東京都(2.1%→2.6%)だった。

7. 空き家の中身:一戸建の8割は貸す・売る予定のない空き家。世帯が持つ空き家の6割は相続

秋の午前、門柱に立てかけた竹ぼうきと掃き清められた石の小道の先に、カーテンを引いた引き戸の玄関が見える古い木造住宅のAI生成画像

世帯が持つ空き家のうち、相続・贈与で取得したものは61.6%だった(調査票乙の集計)。ふだんは誰も住んでいなくても、手入れされている家もある。

一戸建と共同住宅では、空き家の種類がまったく違う

全国の空き家を建て方別に見ると、一戸建が352万3000戸(空き家の39.1%)、共同住宅が502万9000戸(55.9%)だった。一戸建の空き家の80.9%(285万1000戸)は賃貸・売却用などを除く空き家で、共同住宅の空き家の78.5%(394万7000戸)は賃貸用だ[1]。

統計局は参考分析で、共同住宅の賃貸用の空き家と賃貸・売却用などを除く空き家を合わせた479万4000戸について、同じ建物に住む世帯の情報などから持ち主の種類を推計している。民営が370万9000戸(77.4%)、公営・公社・給与住宅などの民営以外が91万5000戸(19.1%)だった[10]。一定の仮定を置いた推計値だ。

傷みのある空き家は17.6%

調査員が外から見て、壁や柱、屋根などに不具合がある住宅を「腐朽・破損あり」としている。外壁がところどころ落ちている、壁や基礎にひびがある、瓦が一部はずれている、といった状態だ[3]。

2023年の空き家のうち、腐朽・破損ありは158万4500戸で、空き家の17.6%、総住宅数の2.4%にあたる[7]。空き家に占める割合は、青森県(27.7%)、秋田県(27.2%)、徳島県(26.3%)、高知県(25.8%)、沖縄県(25.4%)が高く、東京都(11.7%)が最も低い(この記事での計算)。空き家の8割余りには、外から見てわかる傷みはない。

世帯が持つ空き家:6割は相続・贈与で取得

世帯が今の住まいとは別に持っている住宅についても調べている。空き家(居住世帯のない住宅)を持っている世帯は141万6000世帯で、主世帯の2.5%だった。持っている空き家を主な用途で分けると、貸家用・売却用・二次的住宅以外が47.5%を占める[1]。

より詳しい項目を調べた調査票乙(約50万住戸・世帯)[2]の集計で、この貸家用・売却用・二次的住宅以外の空き家(世帯所有空き家)を見ると、全国で78万9000件。取得方法は「相続・贈与」が48万6000件で61.6%を占め、1970年以前に建てられたものが44.6%だった[8][9]。人が住まなくなってからの期間は、5年未満が25.9%、20年以上が13.2%、「不明」が21.2%だった[9]。一つの世帯が複数持っている場合は3件目までを数えたもので、千戸単位の推計値だ。

8. 数字を読むときの注意:空き家率からわかること、わからないこと

標本調査なので、小さな差には誤差がある

住宅・土地統計調査は、約340万の住戸・世帯を調べて全体を推計している。統計局が示す標準誤差率は、全国の空き家数で0.35%、賃貸・売却用などを除く空き家数で0.36%だ[12]。推計の方法は「標本抽出方法及び結果の推定方法」にまとめられている[11]。

都道府県では、推定値が小さいほど誤差は大きくなる。空き家数が5万戸前後の県では、標準誤差率はおよそ2%ある[13]。実際に、速報値と確定値の間でも19都府県の空き家率が0.1〜0.2ポイント変わった[1]。0.1〜0.2ポイントしか違わない県どうしの順位には、大きな意味はない。

空き家かどうかは、主に外観などから判断している

空き家については、調査員が外観などから調べている[10]。建物についての調査票は、調査員が建物の外観を確認したり、世帯や管理者に確認したりして作る[1]。空き家の種類の判断が難しい住宅は、賃貸・売却用などを除く空き家に含まれる[3]。この種類の中には、実際には貸す予定や売る予定のある住宅が混じっている可能性がある。

5年に一度、10月1日の状態

数字は2023年10月1日時点のもので、次の調査は2028年に行われる予定だ。その間の増減は、この統計ではわからない。

空き家率は、地域の良し悪しを示すものではない

空き家率は総住宅数との比なので、住宅の建て方、賃貸住宅の多さ、別荘の多さ、新しく建つ住宅の数などで大きく変わる。率が高いからといって暮らしにくい地域とは限らず、低いからといって住宅に余裕がないとも限らない。数字は、地域の住宅の状況を知るための材料の一つだ。

家賃の都道府県ランキングでも、同じ住宅・土地統計調査から、都道府県ごとの家賃の違いを見ている。

この記事は公表された統計を紹介するもので、住宅の購入・売却や転居をすすめるものではありません。数値は、総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」(2024年9月25日公表の確定値、e-Statの時系列統計表・主要統計表は2025年9月30日公開)によります。都道府県の空き家率は公表された実数から計算し、統計局の公表値と一致することを確かめています。地方別の率、順位相関係数、標準偏差、腐朽・破損ありの割合、2018年・1998年からの変化は、この記事で計算したものです。

参考文献・出典

  1. [1]総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果の概要」(2024年9月25日公表)。2 空き家、9 現住居以外の住宅の所有状況、付表 都道府県別の主な指標、参考1 調査の概要、参考2 速報集計と確報集計の関係。総務省統計局(PDF) ↩
  2. [2]総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 調査の概要」(調査の目的及び沿革、調査の対象、抽出方法)。総務省統計局 ↩
  3. [3]総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 用語の解説」(住宅、居住世帯のない住宅、空き家の種類、腐朽・破損の有無、世帯所有空き家)。総務省統計局(PDF) ↩
  4. [4]総務省「令和5年住宅・土地統計調査」時系列統計表 第1-1表 居住世帯の有無(9区分)別住宅数及び建物の種類(6区分)別住宅以外で人が居住する建物数―全国(昭和23年~令和5年)(e-Stat、2025年9月30日公開)。e-Stat(Excel) ↩
  5. [5]総務省「令和5年住宅・土地統計調査」時系列統計表 第3表 住宅数及び世帯数―全国、3大都市圏、都道府県、大都市(昭和33年~令和5年)(e-Stat、2025年9月30日公開)。e-Stat(Excel) ↩
  6. [6]総務省「令和5年住宅・土地統計調査」時系列統計表 第4表 空き家の種類(4区分)、建て方(4区分)別空き家数―全国、3大都市圏、都道府県、大都市(昭和33年~令和5年)(e-Stat、2025年9月30日公開)。e-Stat(Excel) ↩
  7. [7]総務省「令和5年住宅・土地統計調査」主要統計表 第10表 腐朽・破損の有無(2区分)、建物の構造(4区分)別空き家数―全国、都道府県、21大都市(e-Stat、2025年9月30日公開)。e-Stat(Excel) ↩
  8. [8]総務省「令和5年住宅・土地統計調査」主要統計表 第35表 世帯所有空き家の建て方・取得方法・建築の時期、現住居の所有の関係別世帯所有空き家を所有する主世帯数及び所有件数<乙>―全国(e-Stat、2025年9月30日公開)。e-Stat(Excel) ↩
  9. [9]総務省「令和5年住宅・土地統計調査」主要統計表 第36表 世帯所有空き家の居住世帯のない期間、建築の時期、建て方、取得方法別主世帯が所有する世帯所有空き家の住宅数<乙>―全国(e-Stat、2025年9月30日公開)。e-Stat(Excel) ↩
  10. [10]総務省統計局「(参考分析)共同住宅の空き家についての分析-令和5年住宅・土地統計調査結果からの推計-」。総務省統計局(PDF) ↩
  11. [11]総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査の標本抽出方法及び結果の推定方法」。総務省統計局(PDF) ↩
  12. [12]総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」表2 主要項目別標準誤差率-全国(空き家 0.35%、賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 0.36%)。総務省統計局(PDF) ↩
  13. [13]総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」表1 推定値の大きさ別標準誤差率-都道府県、市区町村、大都市圏、都市圏、距離帯。総務省統計局(Excel) ↩
  14. [14]「空家等対策の推進に関する特別措置法」(平成26年法律第127号)第2条(定義)。e-Gov法令検索 ↩

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