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平均寿命が長い都道府県ランキング【最新版】男性1位は滋賀、女性1位は岡山。最も短い青森との差は男性3.46年

厚生労働省「令和2年都道府県別生命表」(2022年12月公表、現時点の最新版)から、47都道府県の平均寿命を男女別に並べた。男性1位は滋賀県の82.73年、女性1位は岡山県の88.29年、男女とも最も短いのは青森県。年齢別の順位、1965年からの推移、健康寿命、全国の最新値(令和7年簡易生命表)もあわせて見る。

朝もやの残る湖のほとりの遊歩道を、遠くで二人が並んで歩いていく後ろ姿のAI生成画像
ライフスタイル
公開日: 2026年10月21日
読了時間: 21 分
著者: ぽちょ研究所
読了時間: 21 分

住んでいる県の平均寿命は、全国の中で長いほうなのか、短いほうなのか。ニュースで「長寿県」という言葉を見かけても、元の統計がいつのもので、どう計算された数字なのかまでは、あまり語られない。

この記事では、厚生労働省が5年ごとに作る「都道府県別生命表」の最新版(令和2年、2022年12月公表)から、47都道府県の平均寿命を男女別に並べた[1]。年齢ごとの順位の入れ替わり、1965年からの推移、健康寿命との違い、そして毎年作られる全国の最新値(令和7年簡易生命表)もあわせて見ていく。

1. 結論:男性1位は滋賀の82.73年、女性1位は岡山の88.29年。男女とも最も短いのは青森

  • 男性の1位は滋賀県で82.73年。 2位は長野県(82.68年)、3位は奈良県(82.40年)[4]。
  • 女性の1位は岡山県で88.29年。 2位は滋賀県(88.26年)、3位は京都府(88.25年)。1位から5位の熊本県(88.22年)までの差は0.07年しかない。
  • 男女とも47位は青森県。 男性79.27年、女性86.33年だった。
  • 1位と47位の差は、男性3.46年、女性1.96年。
  • 全国の値(都道府県別生命表の計算による)は、男性81.49年、女性87.60年。 これを上回ったのは、男女とも22都道府県だった。

都道府県別の「最新版」は令和2年。全国の最新は令和7年

平均寿命の統計は、厚生労働省が3種類つくっている[3]。

種類作る間隔最新版わかること
簡易生命表毎年令和7年(2026年7月公表)全国の平均寿命
完全生命表5年ごと第23回・令和2年(2022年3月公表)全国の平均寿命の確定版
都道府県別生命表5年ごと令和2年(2022年12月公表)都道府県ごとの平均寿命

都道府県別生命表は1965年(昭和40年)から5年ごとに作られていて、令和2年版が12回目にあたる。人口の少ない県では1年ごとの死亡数が偶然で大きくぶれるので、令和2年版は2019〜2021年の3年分の死亡数と、2020年の国勢調査の人口を使って計算している[3]。つまり、この記事のランキングは「2019〜2021年ごろの死亡の状況」を表したものだ。

2025年の国勢調査をもとにした次の版(令和7年都道府県別生命表)は、2026年10月時点ではまだ公表されていない[11]。それまでは、令和2年版が都道府県別の最新の数字になる。

なお、都道府県別生命表の全国値(男性81.49年、女性87.60年)は、各県と比べるために県と同じ方法で計算したもので、同じ2020年の完全生命表の値(男性81.56年、女性87.71年)とは少し違う[12]。全国の水準を知りたいときは、完全生命表か簡易生命表を見るのが適切とされている[3]。

全国の最新値:2025年は男性81.35年、女性87.33年

毎年の全国値を示す令和7年簡易生命表(2026年7月24日公表)では、平均寿命は男性81.35年、女性87.33年で、前の年より男性0.25年、女性0.20年延びた[13]。前年からの延びを死因ごとに分けると、悪性新生物(がん)、心疾患、新型コロナウイルス感染症などの死亡率の変化が延ばす方向に、肺炎や老衰が縮める方向に働いている[14]。

全国の平均寿命は、2020年の男性81.56年、女性87.71年のあと、2022年には男性81.05年、女性87.09年まで下がった。厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症、心疾患、老衰などの死亡率の変化が縮める方向に働いたと説明している[16]。2025年はそこから戻りつつあるが、まだ2020年の水準には届いていない。

国際比較では、国によって作り方が違うため厳密には比べられないとしたうえで、厚生労働省が入手した資料の中では日本の女性は1位、男性は7位だった(男性の1位はスウェーデンの82.52年)[13]。

平均寿命は「亡くなった人の平均年齢」ではない

平均寿命は「0歳の人が、あと平均何年生きられるか」(0歳の平均余命)のことだ。ある年の年齢ごとの死亡率がこの先も変わらないと仮定して計算するので、その地域の年齢構成には左右されず、死亡の状況だけを表す[3]。高齢者の多い県だから平均寿命が長く出る、ということはない。

また、平均寿命より長く生きる人のほうが多い。令和7年簡易生命表では、生まれた人のちょうど半数が生きている年齢(寿命中位数)は男性84.13年、女性90.17年で、平均寿命より3年近く長い。90歳まで生きる人の割合は、男性26.7%、女性50.8%だった[15]。

2. 47都道府県ランキング:上位は近畿・中部・中国地方、下位は東北と北関東

順位男性平均寿命女性平均寿命
―全国81.49年全国87.60年
1滋賀県82.73年岡山県88.29年
2長野県82.68年滋賀県88.26年
3奈良県82.40年京都府88.25年
4京都府82.24年長野県88.23年
5神奈川県82.04年熊本県88.22年
6石川県82.00年島根県88.21年
7福井県81.98年広島県88.16年
8広島県81.95年石川県88.11年
9熊本県81.91年大分県87.99年
10岡山県81.90年富山県87.97年
11岐阜県81.90年奈良県87.95年
12大分県81.88年山梨県87.94年
13愛知県81.77年鳥取県87.91年
14東京都81.77年兵庫県87.90年
15富山県81.74年神奈川県87.89年
16兵庫県81.72年沖縄県87.88年
17山梨県81.71年東京都87.86年
18宮城県81.70年高知県87.84年
19三重県81.68年福井県87.84年
20島根県81.63年佐賀県87.78年
21静岡県81.59年福岡県87.70年
22香川県81.56年香川県87.64年
23千葉県81.45年宮崎県87.60年
24埼玉県81.44年三重県87.59年
25佐賀県81.41年新潟県87.57年
26山形県81.39年鹿児島県87.53年
27福岡県81.38年愛知県87.52年
28鳥取県81.34年岐阜県87.51年
29新潟県81.29年宮城県87.51年
30徳島県81.27年千葉県87.50年
31宮崎県81.15年静岡県87.48年
32愛媛県81.13年山口県87.43年
33群馬県81.13年徳島県87.42年
34山口県81.12年長崎県87.41年
35和歌山県81.03年山形県87.38年
36長崎県81.01年大阪府87.37年
37栃木県81.00年和歌山県87.36年
38鹿児島県80.95年愛媛県87.34年
39北海道80.92年埼玉県87.31年
40茨城県80.89年群馬県87.18年
41大阪府80.81年秋田県87.10年
42高知県80.79年北海道87.08年
43沖縄県80.73年岩手県87.05年
44岩手県80.64年茨城県86.94年
45福島県80.60年栃木県86.89年
46秋田県80.48年福島県86.81年
47青森県79.27年青森県86.33年

出典は厚生労働省「令和2年都道府県別生命表の概況」の表1[4]。表示が同じ値(たとえば男性の岡山県と岐阜県の81.90年)は、表示より下の桁で順位がつけられている。

男女ともに上位の県と、片方だけ上位の県

滋賀・長野・京都の3府県は、男女ともに4位以内に入った。滋賀県は男性1位・女性2位、長野県は男性2位・女性4位、京都府は男性4位・女性3位だ。

一方で、男女の順位が離れている県もある。奈良県は男性3位だが女性は11位、神奈川県は男性5位で女性15位。逆に、女性1位の岡山県は男性10位、女性6位の島根県は男性20位だった。いちばん差が大きいのは沖縄県で、女性16位に対して男性は43位だ。

東京都は男性14位(81.77年)、女性17位(87.86年)で、全国値はわずかに上回るが上位10には入らない。大阪府は男性41位、女性36位だった。都道府県別の平均年収ランキングで1位の東京都がここでは中ほどにいるように、所得の順位と平均寿命の順位は一致しない。

下位:青森県は46位とも1年以上離れている

男性の下位5県は、青森・秋田・福島・岩手・沖縄。女性は、青森・福島・栃木・茨城・岩手だった。東北の県が多く、女性では北関東の栃木県と茨城県も入る。

目立つのは、47位の青森県と46位との差だ。男性では46位の秋田県(80.48年)と青森県(79.27年)の間に1.21年の開きがある。1位から46位までの差は2.25年なので、全体の差3.46年のおよそ3分の1は、青森県と他県の間の差ということになる。女性でも、46位の福島県と青森県の差は0.48年あった。

男女の差:最も大きいのは沖縄の7.15年、最も小さいのは滋賀の5.53年

女性の平均寿命から男性の平均寿命を引いた男女差は、全国で6.11年。最も大きいのは沖縄県(7.15年)で、高知県(7.06年)、青森県(7.05年)が続く。最も小さいのは滋賀県(5.53年)、奈良県(5.54年)、長野県(5.55年)だった[4]。男性の平均寿命が長い県ほど、男女差が小さい傾向が見てとれる。

3. 年齢別に見ると順位が入れ替わる:沖縄の男性は0歳の43位から75歳では2位に

夕方の光が差す石垣の路地で、花の咲く生け垣の前の木のベンチに麦わら帽子が二つ置かれているAI生成画像

0歳の平均寿命は全ての年齢の死亡状況をまとめた数字。年齢を区切ると、違う顔が見えてくる。

都道府県別生命表には、0歳だけでなく20歳・40歳・65歳・75歳の平均余命(その年齢の人が、あと平均何年生きられるか)も載っている[5]。

年齢男性の1位男性の全国女性の1位女性の全国
0歳滋賀県 82.73年81.49年岡山県 88.29年87.60年
40歳長野県 43.73年42.43年長野県 48.91年48.26年
65歳長野県 20.86年19.89年沖縄県 25.44年24.77年
75歳長野県 13.12年12.47年沖縄県 16.85年16.12年

青森県は、男女ともどの年齢でも47位だった。65歳の平均余命は男性18.51年、女性23.92年で、全国より男性で1.38年、女性で0.85年短い。

沖縄県:働く世代の死亡が、0歳の数字を押し下げていると考えられる

順位の動きが最も大きいのは沖縄県の男性だ。0歳・20歳・40歳ではいずれも43位なのに、65歳では15位、75歳では2位(12.93年)まで上がる。女性も0歳では16位だが、65歳と75歳では1位になる。

0歳の平均寿命は、子どもから高齢者まで、全ての年齢の死亡率をまとめた数字だ。75歳の平均余命は、75歳まで生きた人のその後だけを表す。沖縄県で「高齢になってからの余命は全国トップ級なのに、0歳の平均寿命は下位」になっているのは、65歳より前の年齢での死亡が相対的に多く、それが0歳の数字を押し下げているためと考えられる。厚生労働省の概況も、75歳の順位が0歳より大きく上がる県として、沖縄・宮崎・鹿児島・高知を挙げている[4]。男性の鹿児島県は0歳38位から75歳13位へ、宮崎県は31位から12位へ、高知県は42位から24位へ上がった。

逆に下がる県:愛知・福井・富山・石川

反対に、男性の愛知県は0歳13位から75歳35位へ、福井県は7位から29位へ、富山県は15位から34位へ、石川県は6位から23位へ下がる。女性では、三重県が24位から40位へ、滋賀県が2位から14位へ下がった。

これらの県は、若い世代や働く世代の死亡率が低いことで0歳の平均寿命が押し上げられている一方、高齢になってからの余命は全国並み、と読むことができる。「長寿県」といっても、どの年齢で差がついているかは県によって違う。

4. 55年間の推移:滋賀は27位から1位へ、沖縄は1位から43位へ。青森は半世紀近く最下位

令和2年版の概況には、1965年(昭和40年)からの都道府県別の平均寿命が全て載っている[6]。この55年で、全国の平均寿命は男性で約14年、女性で約15年延びた。男女別に、各回の1位と最下位を並べた。

男性

年全国最も長い県最も短い県差
196567.74年東京都 69.84年青森県 65.32年4.52年
197571.79年東京都 73.19年青森県 69.69年3.50年
198574.95年沖縄県 76.34年青森県 73.05年3.29年
199576.70年長野県 78.08年青森県 74.71年3.37年
200578.79年長野県 79.84年青森県 76.27年3.57年
201079.59年長野県 80.88年青森県 77.28年3.60年
201580.77年滋賀県 81.78年青森県 78.67年3.11年
202081.49年滋賀県 82.73年青森県 79.27年3.46年

女性

年全国最も長い県最も短い県差
196572.92年東京都 74.70年秋田県 71.24年3.46年
197577.01年沖縄県 78.96年秋田県 75.86年3.10年
198580.75年沖縄県 83.70年大阪府 79.84年3.86年
199583.22年沖縄県 85.08年兵庫県 81.83年3.25年
200585.75年沖縄県 86.88年青森県 84.80年2.08年
201086.35年長野県 87.18年青森県 85.34年1.84年
201587.01年長野県 87.67年青森県 85.93年1.74年
202087.60年岡山県 88.29年青森県 86.33年1.96年

1965年は沖縄県を含まない46都道府県の値だ。1995年の兵庫県は阪神・淡路大震災の影響を受けている(影響を除いた場合の女性の値は82.68年)[6]。2015年の女性は長野県と岡山県がともに87.67年で、表示より下の桁(87.675年と87.673年)で長野県が1位になった[2]。

過去の版で上位3位を見ると、2010年は男性が長野県(80.88年)・滋賀県(80.58年)・福井県(80.47年)、女性が長野県(87.18年)・島根県(87.07年)・沖縄県(87.02年)だった[10]。2015年は男性が滋賀県(81.78年)・長野県(81.75年)・京都府(81.40年)で[9]、女性が長野県・岡山県(ともに87.67年)・島根県(87.64年)だった。上位の顔ぶれは、10年でかなり入れ替わっている。

順位が大きく動いた県

  • 滋賀県(男性):1965年は27位。2005年と2010年に2位、2015年と2020年は1位になった。女性も1965年の31位から2020年は2位へ上がっている。
  • 長野県(男性):12回すべてで10位以内に入った。1990年から2010年までは5回続けて1位だった。男性で毎回10位以内に入ったのは、長野県と神奈川県の2県だけだ[6]。
  • 岡山県(女性):女性で毎回10位以内に入ったのは岡山県だけだ。1970年にも1位だったが、2020年は50年ぶりの1位になった。
  • 沖縄県:男性は1980年と1985年に1位だったが、2000年に26位、2020年には43位まで下がった。女性は1975年から2005年まで7回続けて1位だったが、2010年3位、2015年7位、2020年16位と順位を下げている。
  • 青森県:男性は1975年から10回続けて47位。女性も2000年から5回続けて47位だ。
  • 東京都:1965年は男女とも1位だったが、2020年は男性14位、女性17位。

2015年から2020年:全ての都道府県で延びた

2015年から2020年にかけて、平均寿命は男女とも全ての都道府県で延びた[6]。全国の延びは男性0.72年、女性0.60年。

延びが大きかったのは、男性では鳥取県(1.17年)、富山県(1.13年)、和歌山県(1.09年)、女性では京都府(0.89年)、和歌山県(0.88年)、兵庫県(0.84年)。小さかったのは、男性の沖縄県(0.46年)、女性の新潟県(0.25年)だった。青森県は男性0.61年、女性0.39年延びたが、延び幅は全国より小さく、他県との差は縮まらなかった。

最長と最短の差は、いったん縮まってまた広がった

1位と最下位の差は、長い目で見ると縮まってきた。男性は1965年の4.52年から2015年の3.11年へ、女性は1985年の3.86年から2015年の1.74年へ小さくなった。ところが2020年は、男性が3.11年から3.46年へ、女性が1.74年から1.96年へと、どちらも前回より広がった。1位の値は男性で81.78年(滋賀県)から82.73年(滋賀県)へ、女性で87.67年(長野県)から88.29年(岡山県)へ上がったのに対し、最下位の青森県の延びは男性0.61年、女性0.39年と全国より小さかったためだ。

5. 健康寿命と比べる:平均寿命の長い県と、元気に過ごせる期間が長い県は同じではない

地域の共同菜園で、軍手をした手が土の付いた大根と葉物野菜を収穫している手元のAI生成画像

健康寿命は「日常生活に制限のない期間の平均」。何年生きるかとは別の物差しだ。

平均寿命とあわせてよく使われるのが、健康寿命(日常生活に制限のない期間の平均)だ。国の健康づくり計画「健康日本21(第三次)」では、厚生労働科学研究班が計算した令和4年(2022年)の値を基準値にしている[17]。

全国の健康寿命は、男性72.57年、女性75.45年。同じ年の平均寿命(男性81.05年、女性87.09年)との差、つまり日常生活に何らかの制限がある期間の平均は、男性8.49年、女性11.63年だった。前回の2019年の値(男性72.68年、女性75.38年)と比べて、統計的に意味のある差は見られなかったとされている[17]。

都道府県の健康寿命:1位は男女とも静岡県

区分男性女性
1位静岡県 73.75年静岡県 76.68年
2位石川県 73.60年山口県 76.43年
3位山梨県 73.47年岐阜県 76.20年
全国72.57年75.45年
下から3番目沖縄県 71.62年神奈川県 74.71年
下から2番目高知県 71.19年沖縄県 74.33年
最も短い岩手県 70.93年岩手県 74.28年

平均寿命の上位県は、健康寿命では必ずしも上位ではない。平均寿命が男性1位の滋賀県は、健康寿命では男性73.19年で上位に入るが、長野県の男性は72.73年で中ほど。女性1位の岡山県は75.67年、滋賀県は75.82年で、どちらも上位3県とは差がある[17]。

反対に、平均寿命が男女とも最も短い青森県は、男性の健康寿命が72.03年で、全国(72.57年)をやや下回る程度だ。男性で「日常生活に制限のある期間」が最も短いのは青森県の7.14年で、最も長い兵庫県(9.48年)、長野県(9.47年)、京都府(9.44年)より2年以上短い。女性で制限のある期間が最も短いのは静岡県の10.31年、最も長いのは神奈川県の12.99年だった[17]。

健康寿命の順位は、細かく比べすぎない

健康寿命は、国民生活基礎調査の回答と死亡の統計を組み合わせて推計した値で、計算上の誤差を含む。資料では、数値を比べるときは95%信頼区間も考慮する必要があると注意している[17]。

たとえば男性1位の静岡県の95%信頼区間は73.22〜74.27年、最も短い岩手県は70.11〜71.76年で、上と下ははっきり違うと言える。しかし中ほどの県どうしは区間が重なることが多く、順位の数番の違いには大きな意味がない。実際、青森県の女性は2019年の76.05年から2022年は75.02年へ、京都府の女性は73.68年から75.78年へと、1回で1年以上動いている。

なお、ここでの健康寿命は2022年の値で、都道府県別生命表(2019〜2021年の死亡状況)とは年も計算方法も違う。県ごとの「平均寿命−健康寿命」を、この記事の表どうしで引き算して求めることはしていない。

国の目標は「健康寿命の延び」と「県の差の縮小」

健康日本21(第三次)は、令和6〜17年度の計画で、次の2つを目標にしている[17]。

  • 健康寿命の延伸:平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加
  • 健康格差の縮小:健康寿命の上位4分の1の都道府県の平均の増加分を上回る、下位4分の1の都道府県の平均の増加

基準となる2022年の値では、上位4分の1の平均が男性73.27年、女性76.12年、下位4分の1の平均が男性71.75年、女性74.77年で、その差は男性1.51年、女性1.35年だ。2028年の値で中間評価、2031年の値で最終評価をする予定になっている。

6. 差の背景として考えられることと、数字を読むときの注意

朝の光が差す木の食卓に、ご飯、みそ汁、焼き魚、青菜のおひたしが並ぶ素朴な家庭の食事のAI生成画像

県ごとの差の理由は一つではない。統計からわかることと、わからないことを分けて見たい。

死因の構成:青森県はがんで亡くなる確率が高め

都道府県別生命表には、生まれた人が将来どの死因で亡くなるかを確率で表した「死因別死亡確率」も載っている[7]。これは生命表の上での計算で、実際の死亡の割合とは異なる。

項目全国青森県長野県滋賀県
男性・悪性新生物(がん)28.13%29.69%26.17%28.27%
男性・脳血管疾患7.03%7.90%8.08%6.24%
男性・自殺1.72%2.16%1.91%1.73%
男性・老衰6.92%5.46%8.79%7.25%
女性・悪性新生物(がん)20.05%21.26%19.27%19.48%
女性・老衰17.69%15.94%19.85%17.43%

青森県は、がんで亡くなる確率が男性で4番目、女性で3番目に高く、男性の自殺の確率も全国で2番目に高い。がんがなくなったと仮定した場合に平均寿命がどれだけ延びるかという計算でも、青森県の男性は3.85年(全国3.51年)、女性は3.13年(全国2.84年)と全国より大きい[8]。青森県の平均寿命の短さには、がんを中心に、比較的若い年齢での死亡が多いことが関わっていると考えられる。

一方、長野県は老衰で亡くなる確率が男女とも全国より高い。ただし、これは「長野県では老衰が多いから長生き」という意味ではない。長生きする人が多ければ、高齢で老衰により亡くなる人の割合も自然と高くなる。死亡確率は、死因の「配分」を表した数字であることに注意したい。

統計からわからないこと

県ごとの差の背景としては、食生活、喫煙や飲酒、運動の習慣、健診の受け方、医療へのアクセス、仕事や所得など、さまざまな要因が考えられる。しかし、この記事で使った生命表は死亡の状況を表すもので、どの要因がどれだけ効いているかまでは示していない。「この県は〇〇を食べるから長寿」のような一つの理由で説明できるものではなく、因果関係を確かめるには別の研究が必要だ。

「その県に住めば長生きできる」わけではない

平均寿命は、その県に住む人たちの死亡状況をまとめた数字で、移り住んだ人の寿命が変わることを示すものではない。また、0.01年は約3.7日にあたる。女性の1位と5位の差(0.07年)は1か月に満たず、上位の細かい順位の違いを大きな差と受け取らないほうがいい。

自分や家族のことを考えるなら、県の順位よりも、全国の年齢別の数字のほうが役に立つ。令和7年簡易生命表では、65歳の平均余命は男性19.68年、女性24.52年。75歳でも男性12.24年、女性15.88年ある[14]。65歳まで生きる人の割合は男性89.9%、女性94.5%だ[15]。

この記事は公表された統計を紹介するもので、医療や健康上の助言ではありません。健康について気になることがある場合は、医師や自治体の窓口に相談してください。数値は2026年10月時点で公表されている統計によります。

参考文献・出典

  1. [1]厚生労働省「令和2年都道府県別生命表の概況」(2022年12月23日公表)。厚生労働省 ↩
  2. [2]厚生労働省「令和2年都道府県別生命表を公表します」報道発表資料(2022年12月23日)。厚生労働省 ↩
  3. [3]厚生労働省「令和2年都道府県別生命表の概況」都道府県別生命表について(生命表の種類、基礎資料、全国値の扱い)。厚生労働省 ↩
  4. [4]厚生労働省「令和2年都道府県別生命表の概況」1 都道府県別にみた平均余命(表1 平均寿命、表2 主な年齢の平均余命、表3 男女差)。厚生労働省 ↩
  5. [5]厚生労働省「令和2年都道府県別生命表の概況」統計表 表1 主な年齢の平均余命。厚生労働省 ↩
  6. [6]厚生労働省「令和2年都道府県別生命表の概況」統計表 表2 平均寿命の年次推移(昭和40年〜令和2年)。厚生労働省 ↩
  7. [7]厚生労働省「令和2年都道府県別生命表の概況」参考1 死因別死亡確率。厚生労働省 ↩
  8. [8]厚生労働省「令和2年都道府県別生命表の概況」参考2 特定死因を除去した場合の平均寿命の延び。厚生労働省 ↩
  9. [9]厚生労働省「平成27年都道府県別生命表の概況」。厚生労働省 ↩
  10. [10]厚生労働省「平成22年都道府県別生命表の概況」。厚生労働省 ↩
  11. [11]厚生労働省「生命表(加工統計)結果の概要」(簡易生命表・完全生命表・都道府県別生命表の公表一覧)。厚生労働省 ↩
  12. [12]厚生労働省「第23回生命表(完全生命表)の概況」(2022年3月2日公表)。厚生労働省 ↩
  13. [13]厚生労働省「令和7(2025)年簡易生命表の概況」(2026年7月24日公表)および報道発表資料。厚生労働省 ↩
  14. [14]厚生労働省「令和7(2025)年簡易生命表の概況」1 主な年齢の平均余命。厚生労働省 ↩
  15. [15]厚生労働省「令和7(2025)年簡易生命表の概況」2 寿命中位数等生命表上の生存状況。厚生労働省 ↩
  16. [16]厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況」1 主な年齢の平均余命。厚生労働省 ↩
  17. [17]厚生労働省 健康・生活衛生局健康課「健康寿命の令和4年値について」第4回健康日本21(第三次)推進専門委員会 資料1-1(2024年12月24日)。健康寿命は厚生労働科学研究「次期健康づくり運動プラン作成と推進に向けた研究」(研究代表者 辻一郎)による算出。厚生労働省 ↩

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