世界と日本の学歴×年収・就職 最新統計ガイド - 1995年頃との比較で読み解く

OECDや文部科学省などの一次統計をもとに、学歴と賃金・就職率の関係を最新データと1995年前後の比較で整理。進学率の推移、男女差、国際比較、キャリア戦略のヒントまで解説します。

公開日: 2025年9月24日
読了時間: 3
著者: ぽちょ研究所
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学歴と年収・就職の最新統計(世界・日本):1995年頃との比較で読み解く

みなさん、先ほどは具体的数値が不足しておりました。申し訳ありません。ここでは一次統計(OECD、文部科学省、厚生労働省、国税庁など)に基づいて、事実ベース・数値ベースで整理します。基準日は2025年9月24日(日本時間)です。

💡 結論へのショートカット:最新統計では「大卒・院卒ほど賃金と就職率が高く」「1995年前後と比べて進学率が大幅上昇」。一方で男女差や専攻によるばらつきは依然残ります。詳細をデータで追っていきましょう。

目次

  1. はじめに(用語の確認)
  2. 世界:学歴×所得・就業の相関(OECD)
  3. 日本:学歴別の賃金・初任給・就職率の最新値
  4. 30年前(1995年前後)との主要比較(進学率・就職率・賃金感)
  5. 学歴プレミアムの構造(年齢・性別・専攻でどう変わる?)
  6. 国際比較で見える日本の特徴
  7. まとめ(意思決定のための要点)

1. はじめに(用語の確認)

  • 学歴区分(日本の統計でよく使う):中学卒・高校卒・短大/高専卒・専門学校卒・大学(学士)・大学院(修士/博士)。厚労省の「賃金構造基本統計調査(賃金構造)」はこの粒度で公表します。([厚生労働省][1])
  • OECDの教育段階
    • below upper secondary=高校未満
    • upper secondary=高校相当
    • tertiary=高等教育(短期高等、学士、修士・博士含む)
    • これに対する相対的賃金(earning advantages/premium)が各国比較に使われます。([OECD][2])


2. 世界:学歴×所得・就業の相関(OECDの最新)

  • 学歴が上がるほど賃金は高い:OECD全体では、フルタイム就業者の高卒(upper secondary)高校未満より平均18%高所得大卒系(tertiary)高校未満の約2倍の水準という総論(EAG 2024/2025)。([OECD][3])
  • 学士・修士・博士のプレミアム(EAG 2025):OECD平均で、短期高等は高卒より+17%学士+39%修士・博士+83%。年齢が上がるほどプレミアムは拡大(25-34歳で+39%、45-54歳で+67%)。([OECD][4])
  • 就業率も学歴とともに上昇(25-64歳):短期高等83%、学士86%、修士90%、博士93%(EAG 2025)。([OECD][5])
例え話:みなさんが同じ国・同じ業界で働くとして、高校卒を基準(100)にすると、OECD平均では学士は約139修士・博士は約183というイメージです(賃金指数)。もちろん国や専攻で上下しますが、「学歴が上がるほど就業率と賃金が上がりやすい」という方向性は国際的に一貫しています。([OECD][4])

3. 日本:学歴別の最新値(2024~2025年公表)

3-1. 学歴別の所定内給与(月額)(一般労働者・男女計、2024年調査=令和6年公表)

  • 高校卒288.9千円
  • 専門学校306.9千円
  • 短大・高専307.2千円
  • 大学(学士)385.8千円
  • 大学院497.0千円
  • (いずれも対前年増、大学+4.4%、大学院+4.3%など)([厚生労働省][6])

3-2. 新規学卒者の初任給(月額)(2024年調査)

  • 高校197.5千円
  • 専門学校222.8千円
  • 短大・高専223.9千円
  • 大学248.3千円
  • 大学院287.4千円
  • (男女計、いずれも前年比プラス)([厚生労働省][7]) ※ 参考:前年(2023調査)も同様に学歴順で上昇、大学237.3千円→翌年248.3千円。([厚生労働省][8])

3-3. 就職率(就職内定率)

  • 大学生の就職率(2025年3月卒)98.0%(前年同期比▲0.1pt)
  • 高校生の就職率(2025年3月卒)98.0%(前年同)
  • (文科省・厚労省 共同調査の公表)([文部科学省][9])

3-4. 全体の平均年収(参考)

  • 民間給与の平均(2023年分)男性569万円女性315万円(給与所得者ベース、国税庁)。性差あり。([国税庁][10])

4. 30年前(1995年前後)との主要比較

ここでは「当時と今」を共通の公式統計系列でつなげます。

4-1. 進学率(学校基本調査)

  • 最新(速報・概況):18歳人口に対する高等教育機関進学率87.3%(大学・短大・専門学校・高専含む、2024年度概況)。([NIC Japan][11])
  • 1990年代半ば:大学(学部)進学率は3割台から上昇過程。年次統計はe-Statの年次統計総括表(1948年~)で時系列確認可能(現役進学率の長期推移が掲載)。([e-Stat][12])
たとえば、「大学等」全体への進学はこの30年で大きく拡大短大の比率低下専門学校・大学学部の比率上昇が入れ替わるように進んだことが、日本の特徴です(詳細系列は学校基本調査の年次統計で確認可)。([e-Stat][13])

4-2. 就職率(大卒)

  • 足元(2025年卒)98.0%で高水準。([文部科学省][9])
  • 氷河期期(1997~2000年前後):民間まとめですが、1990年代末は大卒就職率が90%前後まで落ち込む時期があり、長期的にはV字回復。年次を並べた表は(厚労省・文科省の就職内定状況調査を元にした)まとめ資料に整理されています。([ゴールドオンライン][14])

4-3. 賃金水準(学歴別)

  • いま(2024年賃金構造):大学385.8千円、大学院497.0千円(月額、所定内)。([厚生労働省][6])
  • 当時(1995年前後):賃金構造の長期時系列はe-Statと厚労省の「過去情報」から参照可能。定義変更があるため名目額の単純比較は注意が必要ですが、長期的には名目賃金は上昇→デフレ期に実質停滞→近年インフレで名目再上昇という流れ。学歴間の序列(高卒<短大/高専<大卒<院卒)は当時から一貫しています。([厚生労働省][15])
まとめると、進学率は大幅上昇就職率は氷河期から回復して高水準学歴による給与序列は維持、というのが「30年比較」の大枠です。

5. 学歴プレミアムの構造(年齢・性別・専攻でどう変わる?)

5-1. 年齢で広がるプレミアム(OECD)

若年層より中高年層の方が学歴プレミアムが大きい傾向。OECD平均で、25-34歳の大卒は高卒より+39%45-54歳では+67%。管理職・高度専門職に登用される割合差が背景です。([OECD][4])

5-2. 性別の影響

日本の平均年収は男性569万円・女性315万円(2023年)。学歴をそろえても職種・就業形態(非正規比率)・継続就業年数等の違いが残り、結果として男女差が顕著。([国税庁][10]) OECDでも女性は教育で男性を上回る学業成績を示す一方、労働市場での賃金・就業率ギャップは依然存在。([OECD][2])

5-3. 専攻・国別事情(参考)

世界的にはSTEMや医療系はプレミアムが大きい傾向。一方で国によっては高学歴でも若年失業率が高い例(インドの高学歴若年失業など)も報告されています。学歴=自動的に高収入ではなく、専攻・需給・スキルの適合が重要です。([ウォール・ストリート・ジャーナル][16])


6. 国際比較で見える日本の特徴

  • 高学歴化の進展25-34歳の大卒(tertiary)比率は2019年62%→2024年66%25-64歳でも57%とOECD平均(42%)を上回る水準。([OECD][17])
  • 教育支出の水準:一人当たり支出や対GDP比はOECD平均より低めという指摘が続いています(ただし年度で変動)。([OECD Japan][18])
  • 労働市場の安定性:大卒の就職率が98%と極めて高い一方、名目賃金の伸びは足元で回復基調。学歴別の序列とプレミアムは国際比較で中程度とみられます(日本の大卒プレミアムは米国ほど極端ではない)。この点はOECDの国別ノートEAG本体の図表群で概観できます。([OECD][19])

7. まとめ(意思決定のための要点)

みなさん、最後に今日のポイントを「数値」に絞って整理します。

  1. OECD平均:学歴が上がるほど賃金・就業率が上昇。学士=高卒+39%、修士・博士=+83%(25-64歳平均、EAG 2025)。年齢とともにプレミアム拡大。([OECD][4])
  2. 日本の学歴別月額賃金(2024年)高卒288.9千円 → 大卒385.8千円 → 院卒497.0千円(所定内)。序列は一貫。([厚生労働省][6])
  3. 日本の初任給(2024年)高卒197.5千円、大学248.3千円、院卒287.4千円(いずれも前年比増)。([厚生労働省][7])
  4. 就職率大卒・高卒とも98%(2025年卒)と非常に高い。1990年代末の就職氷河期(90%前後)からの回復。([文部科学省][9])
  5. 進学率の30年上昇高等教育進学率87.3%(2024年度)。1990年代半ばはこれより低く、大学(学部)比率↑・短大比率↓・専門学校↑の構造変化。([NIC Japan][11])
  6. 男女差:平均年収は男性569万円・女性315万円(2023年分)で依然差が大きい。([国税庁][10])

補足:データの使い方と注意

  • 日本の賃金時系列は、調査設計や定義が一部改定されており、1990年代の数値と現行の単純比較は要注意。比較の際は同一出所・同一定義でそろえる(e-Statの年次統計、厚労省の「過去情報」)のが基本です。([厚生労働省][15])
  • 国際比較は購買力平価(PPP)や税・社会保障制度、就業形態の違いを踏まえて解釈してください(EAGの注記参照)。([OECD][2])

おまけ:歴史的エピソード

日本では1990年代末~2000年代初頭に就職氷河期があり、大卒の就職率が落ち込みました。ところがその後は企業の採用環境が改善し、2020年代半ばには就職率が98%という歴史的高水準に達しています。進学構造の変化(短大→大学・専門学校)もこの30年間で顕著でした。([ゴールドオンライン][14])


さらに深掘りしたい方へ(一次資料の入り口)

  • OECD『Education at a Glance 2024/2025』本体・データ:各国の学歴別賃金・就業率の図表多数。日本の国別ノートも公開。([OECD][2])
  • 厚労省『賃金構造基本統計調査』:学歴別の賃金(所定内、初任給等)。最新PDFと学歴別抜粋あり。([厚生労働省][1])
  • 文科省『学校基本調査』:進学率・就職者割合の時系列はe-Stat年次統計で確認可。([e-Stat][13])
  • 国税庁『民間給与実態統計調査』:賃金の性別・年齢階層別の最新年収分布。([国税庁][10])

まとめの一言

みなさん、「今」と「30年前」を数字で比べると、日本は高等教育への進学が大幅に進み就職率は氷河期から歴史的高水準へ回復学歴プレミアムは維持(国際的には中程度)という姿が見えてきます。個人の戦略としては、専攻の需給・スキル適合を見極め、継続学習(リスキリング)でプレミアムを積み増すのが現実的です。

[厚生労働省]: https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chingin.html [OECD]: https://www.oecd.org/education/education-at-a-glance/ [文部科学省]: https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shusyoku/ [NIC Japan]: https://www.nier.go.jp/nic/ [e-Stat]: https://www.e-stat.go.jp/ [ゴールドオンライン]: https://gentosha-go.com/ [国税庁]: https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/ [OECD Japan]: https://www.oecd.org/japan/ [ウォール・ストリート・ジャーナル]: https://www.wsj.com/

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