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シルバーウィーク、AIの勢力図が変わった──GPT-6 Astra・Sol・LunaとClaude Fable・Opus・Sonnetを徹底比較

Astra先行からSol・Luna登場へ。Fable 5.1に迫るOpus 5.5、同価格のSolとSonnet 5まで6モデルを比較。発売順、精度、実費、キャッシュ、利用条件から2026年9月のAI競争を読み解く。

秋の駅のベンチに並ぶ大きさの違う三つの旅行かばん
テクノロジー
公開日: 2026年9月23日
更新日: 2026年10月23日
読了時間: 23 分
著者: ぽちょ研究所
読了時間: 23 分

2026年10月23日更新: 9月23日時点の比較はそのまま残し、その後に出たClaude Sonnet 5.5・GPT-6.1 Sol・Gemini 4 Argon・Claude Haiku 5.5の料金と第三者評価を、第9章「その後の動き」に追加しました。旧モデル扱いになったSonnet 5やHaiku 4.5に触れた箇所には注記を入れています。

シルバーウィークに流れてきたAIの新製品ニュースを見て、「また名前が増えた」と思った人もいるだろう。けれど、2026年9月の動きは、型番の更新として読むにはもったいない。

OpenAIはAstraでGPT-6の到達点を先に示し、19日後にSolとLunaで価格の裾野を広げた。一方のAnthropicは、Fable 5.1を出した同じ月に、その性能へ迫るOpus 5.5を投入した。 先端モデルがどこまで賢くなるかだけでなく、その知能をいくらで使えるかが動いた月なのだ。[1][2][3]

そこで、GPT-6 Astra・Sol・Lunaと、Claude Fable 5.1・Opus 5.5・Sonnet 5を一緒に比べる。会社をまたぐ対決、同じ会社の新旧・上位下位の関係、料金と精度の食い違いまで追うと、連休明けに試したいモデルが見えてくる。

情報確認日は2026年9月23日(第9章のみ10月23日)。 公式仕様、第三者評価、筆者の計算・解釈を区別している。6モデルを筆者が同条件で実測したレビューではない。

1. 発売順を知ると、今回のニュースがつながる

まず、別々の発表を一本の時間軸に並べよう。日付は公式資料の表記で、日本での提供開始時刻とは区別する。

発表・発売日モデル今回の比較で重要な意味
6月30日Claude Sonnet 5現行の価格・速度重視の比較対象
9月1日Claude Fable 5.1難しい推論と長時間のエージェント作業を担う上位候補
9月3日GPT-6 AstraGPT-6がまず最上位から登場
9月22日GPT-6 Sol・LunaGPT-6の選択肢が中価格・低価格へ広がる
9月22日Claude Opus 5.5新しい5.5系列の第一弾、Fableとの境界を揺さぶる

発売日は各社の変更履歴・モデル資料・発表による。[1][2][4][3]

ここで大切なのは、SolとLunaが出たからAstraが旧型になったわけではないことだ。OpenAIは現在もAstraを最も難しい一連の仕事に向けたモデルとして位置づけ、GPT-6の家族に3モデルを並べている。新しい日付と上位の能力は、同じ意味ではない。[5]

Anthropic側も、数字だけで並べると見誤る。Opusの「5.5」はFableの「5.1」より大きいが、異なる系列の版番号である。名前の序列だけでFableが常に上、あるいは5.5だからすべて上、と判断せず、現行の評価と用途を見る必要がある。

なお、9月23日時点の比較対象はSonnet 5。Sonnet 5.5とHaiku 5.5は、Opus 5.5の発表で今後数週間の登場予定とされている。未発売のモデルを、すでに使える選択肢へ混ぜない。[3]

(10月23日追記:その後、Sonnet 5.5が9月28日、Haiku 5.5が10月7日に登場し、Sonnet 5は旧モデル(legacy)扱いになった。詳しくは第9章。[21][23])

2. Astraを先に出したOpenAI——「できる」を「使い続けられる」へ

Astraの役割は、単発の質問への回答だけに収まらない。コード、ブラウザ、業務用ソフトを使う複数手順の作業を、成果物まで進めることが公式ガイドで強調されている。調査して、比較して、資料を作る。問題を調べ、修正し、動作を確かめる。その一連の流れに価値を置くモデルだ。[5]

そこへSolとLunaが来た。標準の入力・出力単価で比べると、SolはAstraの5分の1、Lunaは100分の1。同じGPT-6でも、使うたびの予算感はまるで違う。Solは複雑な開発やエージェント処理、Lunaは対象を絞った大量処理の候補として読むと分かりやすい。[6][7][8]

この順番から見えるのは、「まず能力の上限を見せ、次に利用できる回数と場面を増やす」という展開だ。これは発売順と価格に基づく筆者の解釈であり、OpenAIの社内戦略を確認したものではない。

たとえば、問い合わせ1万件を分類して要対応のものを抽出する仕事と、難航する移行プロジェクトを数時間かけて前へ進める仕事では、必要な知能も許容できる料金も違う。Astraだけでは費用が合わなかった前者にLunaを試し、Solでは行き詰まる後者をAstraに任せる。新製品の意味は、単にAstraを安く置き換えることに限定されない。

同じGPT-6でも、同じ設定を移せるとは限らない

Astraは推論をしないnone設定を持たず、APIでのツール利用にはResponses APIが必要だ。SolとLunaはnoneを含む推論設定を備える。料金だけで入れ替える前に、実装が前提としている推論・ツールの条件も見る必要がある。[1][7][8]

(10月23日追記:9月29日に出た後継のGPT-6.1 Solは、Astraと同じくnoneとminimalに対応していない。GPT-6 Solから移るときも、同じ確認が要る。[26][29])

「高いモデルには長い指示、安いモデルには短い指示」とも限らない。比較するときは、完成条件と必要な資料を揃え、各モデルがその仕事をどこまで自力で進められるかを見る。細かく手順を固定しすぎると、上位モデルが別の良い進め方を選ぶ余地まで消してしまう。

小さな線路と紙の建築模型を組み合わせた作業台

一つの大きな仕事を、どの能力と予算で進めるか。完成までの道筋でモデルの役割が変わる。

3. OpusがFableに迫ると、Sonnetの立ち位置も変わる

Anthropicの発表の核心は、Opus 5.5が多くの仕事でFable 5.1水準の性能を示す、という説明にある。高価な系列だけに任せていた仕事を、より低い単価でこなせる可能性がある。この主張はメーカー発表なので、後の第三者評価と分けて読む。[3]

Fable 5.1は、難しい推論や長時間の自律的な作業に向けたモデルだ。Opus 5.5が来ても、特定の仕事でFableのほうが安定するなら利用理由は残る。ただし「上位の名前だから常に最良」と考え、費用差を払う前提にはできなくなった。現在の自分の成果物で差が出るかを問い直すタイミングである。[2]

その下にはSonnet 5がいる。Solと通常の入力・出力単価が同じなので、日常の開発・文章・調査に使う中価格帯の直接比較は、Sol対Sonnet 5が自然だ。一方、SonnetからOpusへ上げる場合、単価は2倍。修正回数や手戻りが減るなら、その差を払う意味がある。[4][9]

つまり比較は三方向になる。Sol対Sonnetは同じ予算帯での選択。Astra対Fableは同じ上位単価での選択。そしてOpus対Astra・Fableは、上位の仕事を、より低い単価でどこまで奪えるかの比較だ。OpusをSol・Lunaだけと並べると、この面白さが落ちてしまう。

MythosとHaikuはどう扱う?

Fable 5.1とMythos 5.1は同じ能力を持ち、提供上の安全対策が異なるとAnthropicは説明している。Mythosは審査を伴うアクセスプログラム等を通じた限定提供であり、一般利用者が自由に選べる第7候補としては扱わない。[10]

現行のHaiku 4.5も低価格帯の選択肢で、通常入力$1・出力$5/100万トークン。ただし本稿の中心は、最新GPT-6系列とClaudeの上位・中価格帯の再編である。Lunaの通常単価はHaiku 4.5の10分の1だが、それだけで全用途における性能の上下を断定はできない。[4]

(10月23日追記:10月7日にHaiku 5.5が出て、Haiku 4.5は旧モデル扱いになった。Haiku 5.5は10万トークン以下の入力なら通常入力$0.10・出力$0.50で、Lunaと同じ単価になる。第9章を参照。[23])

4. 6モデルの料金表——同価格の相手を見つけよう

以下はAPIの従量料金。米ドル、100万トークンあたり。トークンは処理単位で、日本語の文字数と一対一ではない。OpenAIは入力272K以下のStandard、Claudeは通常料金。税・ツール利用料・キャッシュ作成料などを除く。[11][9][2][4]

モデル通常入力キャッシュ読込出力
GPT-6 Luna$0.10$0.01$0.50
GPT-6 Sol$2.00$0.20$10.00
Claude Sonnet 5$2.00$0.20$10.00
Claude Opus 5.5$4.00$0.20$20.00
GPT-6 Astra$10.00$1.00$50.00
Claude Fable 5.1$10.00$0.25$50.00

(10月23日に再確認した時点でも、この6モデルの単価は変わっていない。後継モデルの料金は第9章。[28][24])

通常入力・出力の比は、Lunaを1とすると1:20:20:40:100:100。ただしキャッシュになると並びが変わる。FableはAstraの4分の1、OpusはSol・Sonnetと同額。長い共通資料を何度も読む仕事では、最初の列だけを見ても比較できない。

コンテキストはGPT-6の3モデルが105万、Claudeの比較3モデルが100万トークン。標準の最大出力はいずれも128Kだ。大きな資料を扱える点は共通するが、入れられる量と、その中から正しく要点を拾える能力は別。上限の5%差を、そのまま使い勝手の5%差には変換できない。[6][7][8][9][2][4]

「同じ仕事1,000件」ならいくら?

料金差の大きさをつかむため、1件につき入力10,000・課金対象の出力3,000トークン、1,000件、キャッシュなしで計算する。これは使用量を固定した筆者の試算で、各モデルが実際に同じ量を使うという予測ではない。

  • Luna:$2.50。入力$1+出力$1.50。
  • Sol/Sonnet 5:各$50。入力$20+出力$30。
  • Opus 5.5:$100。入力$40+出力$60。
  • Astra/Fable 5.1:各$250。入力$100+出力$150。

安いモデルが一度で合格するなら強い。一方、SolからOpusへの追加$50で、人の確認・修正が100分減るなら、時給$30の仮定では差額を回収できる。上位モデルの価値を判断するなら、請求額の横に「人が何分直したか」を置きたい。

砂時計と銀色の円盤、赤い糸の静物写真

AIの請求額と、人が確認・修正する時間。両方を足してコストを見る。

5. 精度と実費を並べると、値札の序列が崩れる

6モデルを同じ評価元で見る。下表はArtificial AnalysisのIntelligence Index v4.3.2、確認日の掲載値。すべてmax設定、FableとOpusはDefault Fallbackあり。拒否時に別モデルへ切り替える条件を含むため、純粋な単一モデル同士の完全統制実験ではない。[12][13][14][15][16][17]

モデル・max設定Intelligence Index評価タスクあたり費用
Claude Opus 5.5・fallbackあり58$5.98
GPT-6 Astra53$3.26
Claude Fable 5.1・fallbackあり53$7.63
GPT-6 Sol48$1.06
Claude Sonnet 538$5.09
GPT-6 Luna37$0.07

この指標は複数の評価をまとめたもので、58は58%正解という意味ではない。費用も評価群の加重平均で、自分のメール一件の相場ではない。同じmaxという呼び名でも、消費する計算量が同じとは限らない。[18]

それでも、注目すべき関係が三つある。

一つ目は、Opus 5.5が総合指標でAstraとFableを上回っていること。 単価の高いモデルが、どの指標でも上になるわけではない。Claudeを中心に使う人が、Fableを選ぶ前にOpusを試す根拠になる。

二つ目は、AstraとFableが同じ53でも、評価費用は$3.26対$7.63であること。 通常単価は同じなのに、実費では2倍以上の差がある。さらにAstraは、単価が低いOpusよりも評価費用が小さい。使うトークン量などの違いが、値札を逆転させる。

三つ目は、SolとSonnetの同価格対決。 この評価条件では、Solは高い指標を、かなり低い費用で出している。Sonnetを使い続けている人にとって、Solを試す理由は「新発売だから」より具体的だ。ただしSonnetの既存環境での安定性、日本語の好み、特定の開発案件への適性まで、この一表で消えるわけではない。

科学研究ではAstra、総合ではOpus? 得意分野を分けて読む

メーカー側の比較にも、順位が入れ替わる例がある。Anthropic掲載のTerminal-Bench-Science 0.1では、Astra 64.6、Opus 5.5 58.7、Fable 5.1 52.6。一方、同社掲載のTerminal-Bench 4.0では、Opus 66.4、Astra 57.9、Fable 55.8だ。科学研究とターミナル上の開発では、同じ並びにならない。[3]

これはAnthropicの掲載値で、前の第三者総合指標とは評価も実行条件も異なる。モデルごとの推論設定も完全一致ではない。したがって「科学なら必ずAstra」と断定する材料ではなく、総合点の上位だけを残すと、特定分野の有力候補を落とすことを示す例として読みたい。

また、古い記事のIntelligence Indexと今回の数字を、そのまま増減比較しない。評価セットの版が変われば数値も変わる。「以前61だったAstraが53に低下した」と、異なる版の数字だけで劣化を語るのは不適切だ。

幾何学模様の校正紙を拡大鏡で点検する静物写真

総合点が同じでも、見つける誤りと必要な修正は同じとは限らない。

6. コスパを変えるのは、キャッシュ・推論・待ち時間

同じ資料の繰り返し読込は、Fable 5.1の見落とせない特徴だ。通常入力はAstraと同じ$10でも、キャッシュ読込は$0.25。仮に100万トークンぶんの読込だけを比較するなら$1対$0.25になる。ただし最初の作成、保持期限、再利用できなかった部分、出力は別料金。総額が必ず4分の1という意味ではない。[2][6]

OpenAIの3モデルは、入力が272Kを超えると、そのリクエスト全体の入力・キャッシュ料金が2倍、出力料金が1.5倍になる。100万近い資料を扱えることと、短い入力と同じ単価で扱えることを混同しない。[11]

そして、画面に表示される回答の長さだけでは消費量が分からない。OpenAIの推論トークンは、回答本文に見えなくても出力として課金される。前章で「高い単価のAstraが、低い単価のモデルより安く終わる」ことがあったのは、単価と使用量を別々に見る必要があるからだ。[19]

速く文字が出るモデルと、早く仕事が終わるモデル

文字の出力速度、最初の回答が見えるまでの時間、成果物が完成するまでの時間は別である。毎秒の生成が速くても、長く考え、何度も失敗して修正すれば、完了は遅くなる。逆に、少ない手順で終える高価格モデルが、待ち時間と確認作業を減らす場合もある。

チャットで一緒に推敲するなら、短い応答のテンポが大切だ。夜に調査を任せ、朝に成果物を読むなら、秒単位の応答より完成度と総額が効く。速度評価の数字を借りる前に、自分が待っているのは「最初の一文」か「使える完成品」かを決めたい。

APIの標準推論設定も揃っていない。ClaudeではSonnet 5とFable 5.1がhigh、Opus 5.5がmedium。いつもの初期設定で使った感想と、前章のmax評価を、同じ条件の話として重ねない。[4][9]

紙の束と巻物を整理した保管棚

同じ資料を繰り返し読む仕事では、通常入力よりキャッシュの条件が効いてくる。

7. 月額プラン・提供条件まで含めて、誰が何を試すべきか

ここまでの金額はAPI料金だ。ChatGPTやClaudeの月額プラン、CodexやClaude Codeの利用枠とは別である。APIの単価が半分でも、月額料金や使える回数が同じ比率で変わるとは計算できない。加入先での対象モデル、上限、追加利用の扱いを確認して選ぶ。

また、モデル名を選べることと、ブラウザ操作・ファイル編集・連携サービスまで同じように使えることは別だ。モデルに加え、それを動かすアプリやツールが仕事の完成度を左右する。移行の手間もコストに含めると、ベンチマークで少し上というだけでは乗り換えない判断にも理由がある。

本記事の比較から導く、試す順番は次のとおり。公式の利用推奨ではなく、読者の目的に応じた提案である。

  • 日常の開発・文章・調査を一つのモデルで回したい人:SolとSonnet 5。 同価格なので、実際の完成度と修正時間を比べやすい。最新の第三者評価ではSolに試す価値がある。
  • Claudeで難しい成果物を作る人:Opus 5.5からFable 5.1へ。 Opusで合格するなら費用を抑えやすい。Fableには、追加費用に見合う具体的な改善があるかを求める。
  • 複雑な研究や長い自律作業を任せたい人:Astra・Opus・Fable。 上位の三者を同じ資料と完成条件で比べる。科学系評価でのAstraの強さも、候補を残す理由になる。
  • 大量の定型処理をサービスへ組み込みたい人:Lunaから。 抽出・分類など合否を判定しやすい仕事で、必要な品質に届くかを見る。単価差が大きいため、用途が合えば効果が大きい。

(10月23日追記:同じ価格帯の比較相手は、いまはGPT-6.1 Sol対Sonnet 5.5、Luna対Haiku 5.5に移っている。第9章を参照。)

混ぜて使う手もある。前述の固定使用量なら、1,000件をLunaで処理し、うち100件だけSolで再処理すると$7.50。全件Solの$50より安い。ただし、Lunaが自分の誤りを必ず見つけるわけではない。形式チェック、既知の正解、抜き取り確認など、難しい案件を取りこぼさない仕組みが成立して初めて、この試算は役に立つ。

8. 今月の主役は「最強の名前」より、知能が届く範囲

9月初めのAstraとFable 5.1は、難しい仕事をどこまでAIに任せられるかを広げた。22日のSol・Luna・Opus 5.5は、それをどの予算帯で使えるかという問いを強くした。発売順を追うと、個別の新製品が一つの流れになる。

OpenAIの中では、Astraでしか任せにくかった仕事をSolでできるか、Solで回していた処理をLunaへ下ろせるか。Anthropicの中では、Fableを使っていた仕事をOpusで終えられるか、SonnetからOpusへの差額でどれほど手戻りを減らせるか。そして会社をまたげば、同価格のSol対Sonnet、Astra対Fableがある。

これから新モデルのニュースを読むときは、「同じ値段で何が良くなったか」「同じ完成度をいくらで得られるか」「今まで高すぎた用途へ広がるか」の三つを見てほしい。総合ランキングの一位だけを覚えるより、次の発表の意味まで読みやすくなる。

連休明けに試すなら、自分が最近苦労した仕事を数件用意し、候補を二つか三つに絞ればいい。材料と合格条件を揃え、料金だけでなく完成までの時間、重大な誤り、修正の量を残す。文章の好みと、事実の正しさも別々に採点する。

今回の面白さは、王者が一人増えたことではない。高いモデルを使う理由と、安いモデルで十分になる範囲が、同時に変わったことだ。 Astraを含むGPT-6の全体像と、Fable・Opus・Sonnetの関係を一緒に眺めて初めて、シルバーウィークのAIニュースはつながる。

9. その後の動き(2026年10月23日時点)

ここまでは9月23日時点のスナップショットとして残している。この章だけは、10月23日に各社の公式資料と第三者評価を確かめ直して書いた。上位3モデル(Astra・Fable 5.1・Opus 5.5)の単価は変わっていない。動いたのは、主に中価格帯と低価格帯だ。

日付出来事この記事の比較への影響
9月28日Claude Sonnet 5.5Sonnet 5と同じ通常単価で後継が登場。Sonnet 5は旧モデル扱いに
9月29日GPT-6.1 SolGPT-6 Solの改良版。同じ通常単価で、キャッシュ読込は半額
9月30日Gemini 4 Argon 発表Googleの上位モデル。当初はサイバー防御の担当者などに限定提供
10月7日Claude Haiku 5.510万トークン以下ならLunaと同じ単価。同日、Sonnet 5.5のキャッシュ読込を$0.20から$0.10へ値下げ
10月14日Gemini 4 Argon の提供拡大Google CloudがAPI・AI Studioなどでの提供を案内

日付は各社の公式資料による(Argonの提供拡大はGoogle Cloudブログの日付)。[20][26][27][30][22][25][31]

中価格帯:GPT-6.1 Sol対Sonnet 5.5に、Argonの導入価格が並ぶ

第4章と同じく、米ドル・100万トークンあたりのAPI料金。OpenAIは入力272K以下のStandard、Haiku 5.5は入力10万トークン以下と超過で単価が変わる。キャッシュ作成料は除く。[28][21][23][32]

モデル通常入力キャッシュ読込出力
GPT-6 Luna$0.10$0.01$0.50
Claude Haiku 5.5(10万トークン以下)$0.10$0.01$0.50
Claude Haiku 5.5(10万トークン超)$0.50$0.05$2.50
GPT-6.1 Sol$2.00$0.10$10.00
Claude Sonnet 5.5$2.00$0.10$10.00
Gemini 4 Argon(11月30日まで)$2.00$0.10$10.00
Gemini 4 Argon(12月1日から)$4.00$0.20$20.00

第4章の固定使用量(1件につき入力10,000・出力3,000トークン、1,000件、キャッシュなし)に当てはめると、GPT-6.1 Sol・Sonnet 5.5・導入価格のArgonは各$50、Haiku 5.5は$2.50でLunaと同額、12月以降のArgonは$100でOpus 5.5と同額になる。これも使用量を固定した筆者の試算で、実際の消費量の予測ではない。

注意点もある。Haiku 5.5は新しいトークナイザーを使い、同じ文章でもHaiku 4.5より約30%多いトークン数になるとAnthropicは説明している。会社をまたいで単価を比べるときも、同じ文章が同じトークン数になるとは限らない。ArgonのキャッシュはGoogle側の暗黙的なキャッシュのみで、明示的なキャッシュには対応していない。[23][32]

OpenAIの料金表には、現在、30分のキャッシュ作成料(通常入力の1.25倍)と、10月20日に加わった12時間キャッシュの作成料(同2.5倍)が載っている。第6章で書いたとおり、キャッシュ読込の安さだけで総額は決まらない。[28][27]

第三者評価:同価格帯の「勝ち方」が変わった

第5章と同じArtificial Analysis Intelligence Index v4.3.2の、10月23日時点の掲載値。版は同じなので第5章の表と並べられるが、設定はモデルごとに異なる。[33][34][35][36][16][12][15][13][14][17]

モデル・設定Intelligence Index評価タスクあたり費用
Claude Opus 5.5・max・fallbackあり58$5.98
Claude Sonnet 5.5・max・fallbackあり56$5.46
GPT-6 Astra・max53$3.26
Claude Fable 5.1・max・fallbackあり53$7.63
Gemini 4 Argon・high53$1.99
GPT-6.1 Sol・max52$0.72
GPT-6 Sol・max48$1.04
Claude Haiku 5.5・max43$0.21
GPT-6 Luna・max38$0.07
Claude Sonnet 5・max38$5.09

9月23日の確認時から、GPT-6 Solの費用は$1.06から$1.04へ、Lunaの指標は37から38へ、わずかに変わった。そのほかの4モデルの値は同じだった。

読み取れることは三つある。

一つ目は、中価格帯の勝ち方が二つに分かれたこと。 9月の比較では、SolがSonnet 5より高い指標を、低い費用で出していた。いまはSonnet 5.5が56でGPT-6.1 Solの52を上回る一方、評価費用は$5.46対$0.72で、GPT-6.1 Solが7分の1以下だ。「点数ならSonnet 5.5、費用ならGPT-6.1 Sol」という選び方になった。

二つ目は、Sonnet 5.5がOpus 5.5に迫っていること。 総合指標は56対58で、通常単価は半分。Anthropic自身も、Sonnet 5.5は高いeffort設定でいくつかの評価でOpus 5.5に並ぶ一方、複雑で長い判断を要する仕事ではOpus 5.5がはっきり強いと説明している。第3章で書いた「SonnetからOpusへ上げる理由」は、以前より具体的な仕事で確かめる必要がある。[20]

三つ目は、低価格帯にも同価格の対決ができたこと。 Lunaと、10万トークン以下のHaiku 5.5は同じ単価だ。この評価ではHaiku 5.5が43対38で上回り、評価費用は$0.21対$0.07でLunaが安い。

Argonは、導入価格ならSol・Sonnetと同じ単価で、総合指標はAstra・Fableと同じ53を示している。ただし設定はhighで、ほかのモデルのmaxとは条件が違う。12月からはOpusと同じ単価になるため、試すなら11月中に、自分の仕事で通常価格でも割に合うかまで見ておきたい。

GPT-6 Solはどうなる?

OpenAIのGPT-6の案内は、いまAstra・GPT-6.1 Sol・Lunaの3モデルを並べ、GPT-6 Solを使っている人には移行の注意を読んでから切り替えるよう勧めている。Artificial AnalysisはGPT-6 Solを旧モデル(deprecated)と表示しているが、OpenAIの変更履歴では、10月23日時点で廃止の告知は見つからなかった。料金表にもGPT-6 Solは載っている。[29][27][28][13]

9月の結論は変わったか

大きな流れは変わっていない。「同じ値段で何が良くなったか」「同じ完成度をいくらで得られるか」を見る、という第8章の読み方は、むしろ当てはまる場面が増えた。変わったのは比較相手だ。連休明けに試すなら、いまはGPT-6.1 Sol対Sonnet 5.5、Luna対Haiku 5.5を同じ材料で比べ、上位ではOpus 5.5・Astra・Fableに、導入価格の期間中のArgonを加えるのが自然だろう。これは筆者の提案で、各社の推奨ではない。

本記事の画像はAI生成の概念表現。試算は記載条件に基づき、性能実測や利用枠の保証ではない。料金・提供条件・評価値は変更されるため、導入時には各出典を確認してほしい。

参考文献・出典

  1. [1]OpenAI, API Changelog — September 22, 2026。発売日、API、272K以下の標準単価。2026-09-23確認。 ↩
  2. [2]Anthropic — Claude Fable 5.1 overview。2026-09-23確認。 ↩
  3. [3]Anthropic, Introducing Claude Opus 5.5。2026-09-22発表、メーカー評価・設定・費用削減の説明。2026-09-23確認。 ↩
  4. [4]Anthropic — Claude Sonnet 5 overview。2026-09-23確認。 ↩
  5. [5]OpenAI — Model guidance: Using GPT-6。2026-09-23確認。 ↩
  6. [6]OpenAI — GPT-6 Astra。2026-09-23確認。 ↩
  7. [7]OpenAI, GPT-6 Sol。仕様・推論設定・長文料金条件。2026-09-23確認。 ↩
  8. [8]OpenAI, GPT-6 Luna。仕様・用途・料金条件。2026-09-23確認。 ↩
  9. [9]Anthropic, Claude Opus 5.5 overview。単価、キャッシュ、コンテキスト、標準最大出力。2026-09-23確認。 ↩
  10. [10]Anthropic — Introducing Claude Fable 5.1 and Claude Mythos 5.1。2026-09-23確認。 ↩
  11. [11]OpenAI, API Pricing。Standardの短文・長文、キャッシュ等。2026-09-23確認。 ↩
  12. [12]Artificial Analysis — GPT-6 Astra (max)。2026-09-23確認。 ↩
  13. [13]Artificial Analysis, GPT-6 Sol (max)。Index 48、タスク費用$1.06。2026-09-23確認。 ↩
  14. [14]Artificial Analysis, GPT-6 Luna (max)。Index 37、タスク費用$0.07。2026-09-23確認。 ↩
  15. [15]Artificial Analysis — Claude Fable 5.1 (max with fallback)。2026-09-23確認。 ↩
  16. [16]Artificial Analysis, Claude Opus 5.5 — max, default fallback。Index 58、タスク費用$5.98。2026-09-23確認。 ↩
  17. [17]Artificial Analysis — Claude Sonnet 5 (max)。2026-09-23確認。 ↩
  18. [18]Artificial Analysis, Benchmarking methodology。評価方法と速度等の指標。2026-09-23確認。 ↩
  19. [19]OpenAI, Reasoning models。推論トークンの課金とusage。2026-09-23確認。 ↩
  20. [20]Anthropic, Introducing Claude Sonnet 5.5。2026-09-28発表、メーカー評価とOpus 5.5との比較。2026-10-23確認。 ↩
  21. [21]Anthropic, Claude Sonnet 5.5 overview。発売日、単価、キャッシュ。2026-10-23確認。 ↩
  22. [22]Anthropic, Introducing Claude Haiku 5.5。2026-10-07発表。2026-10-23確認。 ↩
  23. [23]Anthropic, Claude Haiku 5.5 overview。10万トークンを境にした単価、トークナイザー。2026-10-23確認。 ↩
  24. [24]Anthropic, Models overview。現行モデルと旧モデルの区分、キャッシュ読込の料率。2026-10-23確認。 ↩
  25. [25]Anthropic, Claude Platform release notes。10月7日のSonnet 5.5キャッシュ読込値下げ。2026-10-23確認。 ↩
  26. [26]OpenAI, GPT-6.1 Sol。単価、推論設定。2026-10-23確認。 ↩
  27. [27]OpenAI, API Changelog。9月29日のGPT-6.1 Sol、10月20日の12時間キャッシュ。2026-10-23確認。 ↩
  28. [28]OpenAI, API Pricing。GPT-6系列4モデルのStandard料金とキャッシュ作成料。2026-10-23確認。 ↩
  29. [29]OpenAI, Model guidance: Using GPT-6。GPT-6系列の位置づけと移行の案内。2026-10-23確認。 ↩
  30. [30]Google, Introducing Gemini 4 Argon。2026-09-30発表。2026-10-23確認。 ↩
  31. [31]Google Cloud, Gemini 4 Argon available on Google Cloud。2026-10-23確認。 ↩
  32. [32]Google AI for Developers, Gemini Developer API pricing。Argonの導入価格と12月1日からの価格、キャッシュ。2026-10-23確認。 ↩
  33. [33]Artificial Analysis, Claude Sonnet 5.5(max, default fallback)。Index 56、タスク費用$5.46。2026-10-23確認。 ↩
  34. [34]Artificial Analysis, GPT-6.1 Sol(max)。Index 52、タスク費用$0.72。2026-10-23確認。 ↩
  35. [35]Artificial Analysis, Gemini 4 Argon(high)。Index 53、タスク費用$1.99。2026-10-23確認。 ↩
  36. [36]Artificial Analysis, Claude Haiku 5.5(max)。Index 43、タスク費用$0.21。2026-10-23確認。 ↩

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