ネットワークビジネス(マルチ商法)の問題点と被害の実態

ネットワークビジネスの仕組みと問題点を詳しく解説。収益構造の偏り、人間関係への悪影響、違法勧誘の実態まで、被害を防ぐために知っておくべき情報をまとめました。

公開日: 2025年9月8日
読了時間: 2
著者: ぽちょ研究所
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# ネットワークビジネス(マルチ商法)の問題点

ネットワークビジネスとは

ネットワークビジネス(連鎖販売取引)とは、「商品を販売しながら会員を勧誘するとリベートが得られる」仕組みであり、会員を増やしながら販売を行うビジネス形態です。

化粧品や健康食品、健康器具などが典型的な商品ですが、近年は電力や携帯電話サービス、新興の投資商材(暗号資産など)なども「役務(サービス)型」に取り入れられています。

マルチ商法自体は違法ではなく、特定商取引法で規制される合法の取引形態ですが、実質的には連鎖的な勧誘を前提としており、多くのトラブルを抱えています。

ネットワークビジネスの勧誘場面では「いいお金になるよ!」と甘い言葉で勧誘されることが多く、警視庁も「"誰でも簡単に儲けられる"など甘い言葉には注意」と警告しています。

実際、現場では知人や先輩から「いい副業がある」「簡単に稼げる」などと言われて食事や勉強会に誘われた結果、そのまま商品購入や会員契約に至るケースが多く見られます。このような説明には誇張や虚偽も多く、簡単に儲かる話は信用できないと専門家は強く注意を呼びかけています。

収益構造の問題点

ネットワークビジネスの最大の問題は、利益分配の偏りです。運営側や先行する上位会員(上層部)だけが多くの報酬を得られ、組織末端に近づくほど成果を出せなくなります。

警視庁の解説でも「高い利潤を得ようとして大量に仕入れる一方、思ったほど勧誘ができずに不必要な在庫を抱えてしまう問題が生じやすい」と指摘されています。

実際、誘われた人の話によると、「本当に儲かるのは組織の上部にいる一部の人間だけで、商品が売れずに大量の在庫を抱えるようになる」ケースがよくあります。

つまり、ほとんどの参加者にとって"ビジネス"は成立せず、多くが出資した分を回収できないまま損失を被る仕組みになっています。

例えば消費者庁の事例紹介によれば、ある大学生は「入会金3,000円+総額30万円の製品購入」という条件で加入させられ、「誰でもできる」「月100万円稼ぐ者もいる」という甘い説明を受けましたが、結局知人の勧誘も販売も全くうまくいかず、大量の在庫を抱えてしまいました。

このように誘い文句とは裏腹に現実には売上げも勧誘も伸びず、参加者が多額の借金や在庫だけを抱えるリスクが高いのです。

勧誘手法と人間関係への影響

ネットワークビジネスでは、勧誘の際に知人関係を使う手法が一般的です。例えば友人に食事や飲み会に誘われたと思ったら、突然見知らぬ勧誘者が同席して商品購入や会員登録を強要されたケースも報告されています。

その場の雰囲気に流されて高額契約をしてしまうと、後から「契約内容がわからない」「返金できない」とトラブルになることがあります。

実際、勧誘を受けた若者の相談では、会社名や事業内容が明示されないまま契約させられ、後で解約や返金を求めても連絡先がわからなくなる例が多く見られます。

勧誘では「必ず儲かる」「簡単に稼げる」といった甘いセールストークが頻繁に使われますが、これらは警視庁や消費者センターも「誇大広告」に当たる可能性があり注意を促しています。

むしろ、入会直後は無料や低価格を謳いながら、実際には大量仕入れや継続費用の負担が必要となる場合が多いのです。

また、このような勧誘活動の結果、人間関係が大きく悪化するリスクがあります。実際に「MLMで友達を失った」という事例は枚挙にいとまなく、末端ほど親族や友人への勧誘を強いられ、関係が壊れていくのが典型的なパターンです。

ひとたび過剰な勧誘に巻き込まれると、家族や友人との連絡が途絶え孤立してしまうケースすら報告されています。

こうした勧誘の実態は、ビジネスにおける信用構築とは真逆です。ある解説では「ネットワークビジネスは周りに応援されにくい」「そもそもビジネスは信用されないと稼げないが、このビジネスは周囲の信用を失わせてしまう」と指摘されています。

つまり、友人を勧誘し続ける過程で信頼関係を食い潰していくため、本来ビジネスの基本である「信用」をまったく築けないのです。

例えば、ネットワークビジネスを継続することは「友達に『自分のダウンラインになって私のために稼いでくれ』と頼むようなもの」と言われるほどで、周囲の信頼をお金に換える構図なのです。

違法勧誘の例と行政処分

法的にはネットワークビジネスでも「特定商取引法」が適用され、勧誘時の説明義務やクーリングオフ制度など厳しい規制があります。

しかし現場ではこのルールが守られない悪質事例も後を絶ちません。消費者庁の執行事例では、勧誘時に社名・目的を隠し密室に誘い込むといった手口で勧誘を行い、契約前の説明を省略した企業が6カ月の業務停止命令を受けたケースも報告されています。

こうした違法勧誘は頻繁に繰り返されており、行政処分を受けても再び同じ手口で新たな被害が生じる懸念が指摘されています。

また警視庁も「『新規購入者を紹介すれば高いリベートが得られる』『月に100万円稼いでいる人もいる』などの表現は誇大広告に当たる可能性がある」と注意を呼びかけています。

他にもSNSやセミナーを介した巧妙な勧誘や、契約を知らないうちに成立させる「夢セミナー」と称する勧誘など、若者を狙った手口の相談も増加しています。

消費生活センターや警察は、ネットワークビジネスの契約や勧誘で不安を感じた際は、すぐに消費生活センターなどの専門窓口に相談するよう呼びかけています。

主なデメリットまとめ

💰 少数が利益を独占

組織の上層部のみが大きく儲かり、末端ではほとんど成果が出せず在庫負担・借金リスクが高い状況です。

👥 人間関係の悪化

知人・友人を「ダウンライン」にして稼ぐ構造のため、勧誘により友情や家族関係を損ねやすい問題があります。実際「MLMで友達を失う」と言われる所以です。

⚠️ 勧誘手法の悪質さ

甘いセールストークや隠された契約内容で誘われ、契約後に商品説明不足や強引な勧誘が問題になります。警視庁が警告するように「誰でも簡単に儲かる」「すぐ大金が得られる」といった言葉は過度な誇張です。

🚫 社会的信用の低さ

そもそも日本ではネットワークビジネスの評判は非常に悪く、始めると周囲の理解や協力が得られにくい状況です。信頼なしに持続的に稼ぐことは事実上ほぼ不可能です。

📞 行政処分・相談の増加

特商法違反で処分を受ける企業が後を絶たず、多数の相談も寄せられています。連鎖販売の契約では20日間のクーリングオフが認められているものの、実際の返金・解約には困難が伴うケースが多く報告されています。

まとめ

以上のように、ネットワークビジネスには実質的に被害が大きい構造と手口が数多く存在します。消費者庁や専門家も「ネットワークビジネスをおすすめしない」「人生に悪影響を及ぼす可能性がある」と指摘しており、子どもや若者が安易に巻き込まれないよう注意を呼びかけています。

以上の点を踏まえ、ネットワークビジネスには関わらないことが最善と言えるでしょう。

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ネットワークビジネスマルチ商法消費者問題勧誘被害防止