目次
最初に見る地図
ビジネス略語は、英単語、割り算、割合、場面の四つに分けると急に読みやすくなる。
略語は「英語の部品」「分母」「場面」でほどく
CPA、ARPU、KPIのような略語は、丸暗記よりも分解した方が速い。まず英語を開き、Perなら割り算、Rateなら割合、最後に何を分母にする数字かを見る。
略語は、英語の部品、計算、仕事の場面に分けると、知らない言葉でも推測しやすくなる。
| 見た目 | まず考えること | 例 |
|---|---|---|
| Per | 一つあたりなので割り算 | CPC、CPA、CPV、ARPU |
| Rate | 割合なので分母を確認 | CTR、CVR、Retention、Churn |
| Average | 平均なので合計を件数で割る | AOV、AVD、ARPU |
| Revenue | 売上の話 | ROAS、MRR、ARR、ARPU |
| Cost | 費用の話 | CPC、CPA、CAC、CAPEX、OPEX |
覚える順番は、アルファベット順ではなく、仕事の場面順がよい。Webを見る、広告を出す、動画を伸ばす、顧客を獲得する、継続売上を見る、会議で決める。この流れで並べると、略語がただの暗号ではなくなる。
| 場面 | まず覚える略語 | 何を判断するか |
|---|---|---|
| Webと記事 | PV、UU、Session、CTR、CVR | 何回見られ、誰が来て、どこで成果に進んだか |
| 動画 | Views、Watch Time、AVD、APV、VTR、CPV | 見られた回数だけでなく、どこまで見られたか |
| 広告費 | CPC、CPA、CAC、ROAS、ROI | クリック、成果、顧客獲得、売上、利益の採算 |
| ECとSaaS | AOV、ARPU、MRR、ARR、Churn、NRR、LTV | 一人あたり、継続売上、解約、将来価値 |
| 経営と営業 | KGI、KPI、OKR、MQL、SQL、Pipeline | 目標、途中指標、商談の進み具合 |
| 会計と資金 | P/L、B/S、C/F、Margin、EBITDA、CAPEX、OPEX | 利益と現金、固定費、投資、資金繰り |
ビジネス略語これ一本で学ぶ
ビジネス用語は、頭の良さを競う暗号ではない。長い説明を短く運ぶための共通コードである。PVと言えばページが見られた回数、CPAと言えば一件の成果を得る費用、と同じ前提を一瞬で共有できる。難しく見えても、英単語を二つか三つ組み合わせただけのものが多い。
最初に二つだけ修正する。CPAは動画専用ではなく、購入や申込みなど一件の成果にかかった費用である。動画寄りの指標にはCPV、VTR、視聴時間、平均視聴時間、視聴維持率がある。またARUPではなく、多くの場合はARPUである。Average Revenue Per Userの略で、一利用者あたりの平均売上を示す。
ぽちょ研究所式の攻略法は、略語を丸暗記せず、英語を分解し、数式と場面を結び付けることにある。
英語の部品を先に覚える
まず十五個ほどの部品を押さえる。Viewは見ること、Impressionは表示、Clickはクリック、Conversionは成果、Costは費用、Revenueは売上、Acquisitionは獲得、Retentionは継続、Churnは離脱、Averageは平均、Rateは割合、Perは一つあたり、Userは利用者、Monthlyは月次、Annualは年次である。
ここでの「関係する略語・式」は、英単語の頭文字がそのまま入るものだけではない。ImpressionはCPM、CTR、VTRの分母になるが、略語の中にIが出るとは限らない。文字として入る部品と、計算で効く部品を分けて見る。
| 英語の部品 | 日本語の感覚 | 関係する略語・式 |
|---|---|---|
| View | 見る、再生、閲覧 | PV、CPV、AVD |
| Impression | 表示 | CPM、CTRやVTRの分母 |
| Click | クリック | CPC、CTR |
| Conversion | 成果 | CV、CVR、CPAの分母 |
| Cost | 費用 | CPC、CPA、CAC |
| Revenue | 売上 | ARPU、MRR、ARR、ROAS |
| Acquisition | 獲得 | CAC、CPA |
| Retention | 継続 | Retention、NRR |
| Churn | 離脱、解約 | Churn Rate |
| Average | 平均 | AOV、AVD、ARPU |
| Rate | 割合 | CTR、CVR、VTR |
| Per | 一つあたり | CPC、CPA、CPV、ARPU |
| User | 利用者 | UU、DAU、MAU、ARPU |
| Monthly | 月次 | MRR、MAU、MoMの比較 |
| Annual | 年次 | ARR、YoYの比較 |
知らない略語でも、この順番なら会話から落ちにくい
CPAなら Cost / Per / Acquisition に戻す。
Perは割り算、Rateは割合、Averageは平均。
クリック、セッション、利用者、売上のどれで割るか。
Perを見たら割り算だと考える。Cost Per Clickなら費用をクリック数で割る。Revenue Per Userなら売上を利用者数で割る。Rateを見たら割合、Averageを見たら合計を件数で割る。この原則だけでCPC、CPA、CPV、ARPU、CTR、CVRの構造がほどける。
1973年、カーネギーメロン大学のウィリアム・チェイスとハーバート・サイモンは、チェスの熟練者が意味のある盤面を大きなまとまりとして記憶することを示した。ビジネス用語も、費用系、割合系、売上系、継続系というまとまりで覚えた方が扱いやすい。[1]
ウェブサイトと記事の用語
PVはPage Viewで、ページが表示された回数である。同じ人が同じページを三回開けば原則三回になる。PVが一万人ではなく、一万回と表現する方が正確である。
UUはUnique Userで、重複を除いた利用者数を表す呼び方である。現在はUsersやActive Usersも使われる。端末、Cookie、ログイン情報などから推定するため、現実の人間を完全に数えた値ではない。
Sessionは一回の訪問のまとまりである。一人が朝と夜に訪れれば、利用者は一人でも二セッションになり得る。PVは店内で棚を見た回数、Sessionは来店回数、Userは来店した人の数と考えると分かりやすい。
Impressionは表示回数、Reachは届いた人数である。同じ人に五回表示されたならImpressionは五、Reachは一になる。
CTRはClick Through Rateで、表示からクリックへ進んだ割合である。CTR = クリック数 ÷ 表示回数 × 100。一万回表示され、五百回クリックされたなら5パーセントになる。
CVはConversionで、購入、資料請求、会員登録、問い合わせなど、事業側が価値ある成果として決めた行動である。CVRはConversion Rateで、成果に至った割合。五百クリックから二十五件購入なら、クリック基準のCVRは5パーセントになる。ただし分母をセッション数や利用者数にする場合もあるため、何で割った数字かを確認する。
Bounce Rateは直帰率であるが、解析ツールの世代で定義が変わる。現在のGoogle AnalyticsではEngagement Rateの反対側として扱われるため、古い資料との単純比較には注意がいる。[2]
SEOはSearch Engine Optimizationで検索から見つけてもらいやすくする改善、SEMはSearch Engine Marketingで検索を使うマーケティングである。実務では検索広告の意味でSEMを使う場合もある。LPはLanding Pageで、広告や検索から最初に着地するページを指す。
| 用語 | 正式名称 | 見る単位 | ひとことで言うと |
|---|---|---|---|
| PV | Page View | 回 | ページが表示された回数 |
| UU | Unique User | 人に近い推定値 | 重複を除いた利用者 |
| Session | Session | 訪問 | 一回の訪問まとまり |
| Impression | Impression | 回 | 表示された回数 |
| Reach | Reach | 人に近い推定値 | 届いた人数 |
| CTR | Click Through Rate | 割合 | 表示からクリックへ進んだ率 |
| CVR | Conversion Rate | 割合 | 成果へ進んだ率 |
PV、Session、Userは「棚・来店・人」で覚える
同じ人が三回開けば、原則三回。
朝と夜に来れば、一人でも二訪問になり得る。
端末やCookieから推定するため、現実の人間と完全一致ではない。
Webの数字は、見られた回数、訪問のまとまり、重複を除いた利用者、クリック、成果へ分けて読む。
動画と動画広告の用語
Viewsは再生回数である。ただし一再生の条件は媒体と形式で違う。比較するときは同じプラットフォーム、同じ定義、同じ期間をそろえる。
Unique Viewersは重複を除いた推定視聴者数。Viewsが十万、Unique Viewersが二万なら、一人あたり平均五回見られた計算になる。
Watch Timeは総視聴時間、AVDはAverage View Durationで平均視聴時間、APVはAverage Percentage Viewedで平均視聴割合である。十分の動画が平均三分見られたなら、AVDは三分、APVは30パーセントになる。YouTube Analyticsでも、視聴時間、平均視聴時間、視聴維持の指標は動画の改善に使われる。[3]
Audience Retentionは視聴維持率で、動画の各地点にどれだけ視聴者が残ったかを見る。冒頭の急落や特定地点の上昇は、改善仮説を作る手掛かりになる。
動画広告ではCPVがCost Per Viewで一視聴あたりの費用、VTRがView Through Rateで表示から視聴へ進んだ割合、CPMがCost Per Milleで千回表示あたりの費用である。Milleが千を意味するため、Mだけ突然千を担当している。
CPAはCost Per AcquisitionまたはCost Per Actionで、一件の獲得や成果にかかった費用である。広告費を獲得数や成果数で割って読む。動画は表示、クリック、視聴、成果の順に見る。CPAだけでは、どこで詰まったか分からない。
| 動画の流れ | 指標 | 何が分かるか |
|---|---|---|
| 表示された | Impression、CPM | どれだけ出たか、千回表示の費用 |
| 見始めた | Views、VTR、CPV | 表示から視聴へ進んだか、一視聴いくらか |
| 見続けた | Watch Time、AVD、APV、Audience Retention | どこまで残ったか |
| 行動した | CV、CVR、CPA | 視聴やクリックが成果につながったか |
動画は「表示、視聴、維持、成果」の順に見る
Impression / CPM
Views / VTR / CPV
Watch Time / AVD / APV
CV / CVR / CPA
動画は再生回数だけでなく、表示から視聴、維持、成果までの流れで見ると改善点が見つかる。
広告費と顧客獲得の用語
CPCはCost Per Clickで、一クリックあたりの費用である。広告費十万円で五百クリックなら二百円になる。CPLはCost Per Leadで一件の見込み客情報、CPOはCost Per Orderで一注文を得る費用である。
CACはCustomer Acquisition Costで、新規顧客一人を獲得する総コストである。CPAと似ているが、CACには広告費だけでなく、営業人件費、制作費、ツール費などを含める場合がある。広告画面のCPAが三千円でも、会社全体のCACが八千円ということは起こり得る。
ROASはReturn On Ad Spendで、広告費に対して何倍の売上が戻ったかを見る。広告費十万円から売上四十万円なら400パーセントである。ただし売上の指標なので、原価、送料、返品まで含めると赤字の場合もある。
ROIはReturn On Investmentで、投資全体に対してどれだけ利益や便益を得たかを見る。一般的には、投資で得た利益を投資額で割る。ROASは広告という狭い範囲、ROIは投資全体という広い範囲と覚える。1914年、デュポン社のドナルドソン・ブラウンはROIを経営管理へ組み込み、数字を分解して改善点を探す仕組みを発展させた。[4]
Attributionは成果をどの接点の貢献として配分するかという考え方である。動画を見た後に検索広告をクリックした購入を、検索だけの功績にするか、動画にも配るかで評価は変わる。
| 広告費の指標 | 分母 | 注意点 |
|---|---|---|
| CPC | クリック数 | クリック後に成果が出るかは別問題 |
| CPV | 視聴数 | 視聴の定義は媒体で違う |
| CPA | 獲得数または成果数 | 何を獲得や成果としたかを確認する |
| CAC | 新規顧客数 | 広告費以外の人件費や制作費を含める場合がある |
| ROAS | 広告費 | 売上指標なので利益とは限らない |
| ROI | 投資額 | 広告以外の投資全体にも使う |
CPAで止まらず、CPC、CAC、ROAS、ROIへ広げる
入口の単価。安くても買われなければ意味が薄い。
購入、申込み、問い合わせなど、定義した獲得数や成果数で割る。
広告費だけでなく営業や制作も含めることがある。
売上ではなく、投資全体の採算を見る。
広告費は、クリック単価、成果単価、顧客獲得単価、投資回収の順に広げて見る。
EC、アプリ、サブスクリプションの用語
AOVはAverage Order Valueで、一注文あたりの平均購入額である。売上百万円、注文二百件なら五千円になる。
ARPUはAverage Revenue Per Userで、一利用者あたりの平均売上。月間売上六十万円、利用者二百人なら三千円である。ARPPUはAverage Revenue Per Paying Userで課金者だけを分母にする。無料利用者を含むARPUと混ぜない。
MRRはMonthly Recurring Revenueで、毎月繰り返し発生する売上を月額へそろえた数字である。月額三千円の契約が百件なら三十万円になる。ARRはAnnual Recurring Revenueで年単位の継続売上。単純な事業ならMRRの十二倍で概算できるが、一時金や従量課金が多い場合は注意する。
DAU、WAU、MAUはDaily、Weekly、Monthly Active Usersで、日、週、月ごとの活動利用者数である。何をActiveとするかは会社が決める。ログイン、投稿、購入では意味が違う。DAUをMAUで割ると日常的な利用度を示すStickinessの目安になる。
Activationは利用者が最初の価値を体験した状態。Retentionは継続率、Churnは離脱率である。月初百人から五人が解約したなら、単純な顧客Churnは5パーセント。顧客数で見るLogo Churnと、失った売上で見るRevenue Churnは別物である。
Cohortは共通条件を持つ集団である。四月登録組、五月登録組のように分けると、全体平均に隠れた改善や悪化を見つけやすい。
NRRはNet Revenue Retentionで、既存顧客の継続売上が解約、減額、追加購入を経てどれだけ残ったかを見る。期首百万円、追加二十万円、減額五万円、解約五万円なら期末百十万円で、NRRは110パーセントになる。
LTVまたはCLVはLifetime Valueで、一顧客が関係期間全体でもたらす価値である。売上か粗利益か、期間をどう置くかで値は変わる。CACと並べると、獲得費を将来価値で回収できるかが見える。
Unit Economicsは顧客一人、注文一件など、事業の最小単位ごとの採算である。会社全体が成長していても、一件売るたび損が増える構造なら危険である。
| 用語 | 分母 | よくある読み間違い |
|---|---|---|
| AOV | 注文件数 | 利用者一人あたりではない |
| ARPU | 全利用者 | 無料利用者も含む |
| ARPPU | 課金者 | ARPUより高く見えやすい |
| MRR | 月額換算 | 一時金や従量課金を混ぜると読みづらい |
| ARR | 年額換算 | 単純にMRRの十二倍でよい事業か確認する |
| Churn | 顧客数または売上 | Logo ChurnとRevenue Churnを混ぜない |
| NRR | 期首既存顧客売上 | 新規顧客の売上は別で見る |
サブスクは「獲得して、残り、増えるか」を見る
一人獲得する費用
最初の価値体験
残るか、離れるか
既存顧客の売上が伸びるか
サブスクリプションは、獲得、価値体験、継続、拡張の循環で見ると、ARPUやLTVがつながる。
目標管理と経営数値の用語
KGIはKey Goal Indicatorで、最終的に達成したい結果を数値で置く考え方。KPIはKey Performance Indicatorで、そこへ進む途中の重要指標である。年間売上がKGIなら、商談数、成約率、平均単価などがKPIになる。
KGIが山頂ならKPIは登山道の標識である。売上 = 訪問者数 × 購入率 × 平均購入額のように分解すると、どこを動かすべきかが見える。これがKPI Treeの基本になる。
OKRはObjectives and Key Resultsである。Objectiveは目指す状態、Key Resultsは達成を判定する数値結果。タスク一覧ではなく、結果を置く。目標による管理は、ピーター・ドラッカーが1954年に体系化したMBOへさかのぼる。その後、1970年代のインテルでアンディ・グローブがOKRを育て、ジョン・ドーアが学び、Google初期へ持ち込んだ。[5]
Leading Indicatorは先行指標で、商談数や体験利用など将来の結果より早く動く。Lagging Indicatorは遅行指標で、売上、利益、解約など後から確定する。両方を組み合わせる。
Targetは目標、Budgetは予算、Forecastは現時点の予測、Actualは実績である。目標が一億円でも予測が八千万円なら、その差を埋める施策が必要になる。願望をForecastに入れない。
YoYは前年同期比、MoMは前月比、QoQは前四半期比である。季節性が強い事業ではMoMだけで判断しない。Run Rateは直近の速度を年換算する考え方。月商一千万円なら単純年換算は一億二千万円だが、繁忙期だけを十二倍すると元気すぎる未来になる。
| 目標まわりの言葉 | 位置づけ | 実務での注意 |
|---|---|---|
| KGI | 最終結果 | 会社や事業のゴールに置く |
| KPI | 途中指標 | 動かせる行動に近いものを選ぶ |
| OKR | 目指す状態と結果 | タスク一覧にしない |
| Forecast | 現時点予測 | 願望を混ぜない |
| Actual | 実績 | 予測との差を見る |
| Leading Indicator | 先に動く指標 | 将来の売上や解約を早めに読む |
| Lagging Indicator | 後から確定する指標 | 結果確認には強いが手遅れになりやすい |
KGIは山頂、KPIは登山道の標識
年間売上
営業と販売の用語
Leadは見込み客との接点、Prospectは条件が合い顧客化をより具体的に見込める相手である。MQLはマーケティング側が有望と判断した見込み客、SQLは営業対応へ進めると判断した相手。基準は会社ごとに決める。
Opportunityは具体的な商談、Pipelineは進行中の商談全体、Funnelは認知から契約まで人数が減る流れである。
Win Rateは成約率。二十商談から五件受注なら25パーセントになる。Average Deal Sizeは平均受注額、Sales Cycleは接点から受注までの期間。売上は商談数 × 成約率 × 平均受注額で分解できる。
Upsellは上位商品への移行、Cross-sellは関連商品の追加購入。Forecastは商談の金額と確度から将来売上を予測する。ただし担当者の気合いを確度と呼ばず、商談段階ごとの過去実績を使う。
| 営業用語 | 意味 | 見るポイント |
|---|---|---|
| Lead | 見込み客との接点 | まだ条件が粗い |
| MQL | マーケ側が有望と判断 | 判定基準を決める |
| SQL | 営業対応へ進める相手 | 営業が追う価値があるか |
| Opportunity | 商談 | 金額、確度、時期を見る |
| Pipeline | 進行中商談全体 | どの段階で詰まっているか |
| Win Rate | 成約率 | 商談数だけでは売上にならない |
Leadから受注まで、人数は減り、確度は上がる
戦略と商品開発の用語
B2Bは企業向け、B2Cは個人向け、D2Cは製造側が直接消費者へ販売する形、C2Cは個人間取引である。
TAMはTotal Addressable Marketで理論上の市場全体、SAMはServiceable Available Marketで提供可能な市場、SOMはServiceable Obtainable Marketで現実に獲得を狙える範囲。巨大な円、届く円、実際に取れそうな円と覚える。
USPはUnique Selling Propositionで、顧客が自社を選ぶ独自の理由。Value Propositionは、誰のどんな問題を、どの価値で解決するかという提案全体である。Pain Pointは顧客の不便や損失を指す。
3CはCustomer、Competitor、Companyから市場を見る。SWOTはStrengths、Weaknesses、Opportunities、Threatsで、内部の強みと弱み、外部の機会と脅威を分ける。表を埋めるより、何をやらないか決めるために使う。
As-Isは現状、To-Beは目指す状態、その差がGapである。Benchmarkは比較基準、Best Practiceは有効とされる実践例。他社の成功を移植するときは条件の違いを見る。
Hypothesisは仮説、PoCはProof of Conceptで仕組みが成立するかの小規模検証、MVPはMinimum Viable Productで顧客価値と事業仮説を試せる最小限の商品である。雑に作るのではなく、学習に不要なものを削る。
PMFはProduct Market Fitで、商品が市場の強い需要にはまった状態。売上だけでなく継続利用、紹介、解約など複数の兆候を見る。A/B Testは二案を条件をそろえて比較する方法で、一度に多くを変えると何が効いたか分からない。
| 戦略用語 | 使う場面 | 覚え方 |
|---|---|---|
| TAM | 市場全体を見る | 理論上の最大円 |
| SAM | 提供可能市場を見る | 自社が届く円 |
| SOM | 現実的な獲得範囲を見る | 実際に取れそうな円 |
| USP | 選ばれる理由を言う | 独自の売り |
| MVP | 最小限の商品で学ぶ | 雑に作るのではなく、不要な学習コストを削る |
| PMF | 市場にはまったか見る | 継続、紹介、解約も見る |
TAM、SAM、SOMは大きい円から現実の円へ絞る
経営、営業、戦略の略語は、目標から商談、狙う市場へつながる一枚の地図として覚える。
プロジェクトと会議の用語
Agendaは会議項目と順序、Minutesは議事録、Decisionは決定事項、Action Itemは次の行動、Ownerは責任者、Dueは期限である。会議後は、誰が何をいつまでに行うかを残す。
Stakeholderは利害関係者、Consensusは合意、Alignmentは方向や認識をそろえること。全員が同じ好みになる必要はないが、決定後に同じ方向へ動ける状態は必要である。
Scopeは仕事の範囲、Resourceは人、時間、予算などの資源、Milestoneは途中の重要地点、Deliverableは成果物、Dependencyは依存関係、Bottleneckは全体の速度を止める部分である。
Taskは作業、Issueは今起きている問題、Riskは将来起こるかもしれない不確実性。Riskが現実化するとIssueになる。Escalationは、自分の権限だけで解けない問題を早めに上位者や専門部署へ上げることだ。
Assignは担当を割り当てる、Commitは責任を持って約束する、Pendingは保留、Bufferは余裕、Rescheduleは日程変更、Fixは確定または修正である。Fixは意味が揺れやすいので明言する。
Feasibilityは実現可能性、Scalabilityは規模を拡大できる性質、Leverageは資源を使い小さな力で大きな効果を得ること。ETAは完了予定時刻、EODは営業日の終わり、TBDは未決定、TBAは後日発表、FYIは参考共有である。
| 会議後に残すもの | 意味 | 曖昧にしない書き方 |
|---|---|---|
| Decision | 決定事項 | 何を決めたか |
| Action Item | 次の行動 | 何をするか |
| Owner | 責任者 | 誰が持つか |
| Due | 期限 | いつまでか |
| Risk | 将来の不確実性 | 起きたら何が困るか |
| Issue | 今起きている問題 | いま何を解くか |
会議後は「決定、行動、責任者、期限」だけでも残す
議論しただけで終わらせない。
作業単位まで落とす。
チーム全員は責任者ではない。
期限がない行動は流れやすい。
会計、資金、リスクの用語
P/LはProfit and Loss Statementで損益計算書、B/SはBalance Sheetで貸借対照表、C/FはCash Flow Statementで資金の流れを示す。P/Lは一定期間の稼ぎ、B/Sはある時点の財産と負債、C/Fは現金の出入りを見る。
RevenueまたはSalesは売上でTop Lineとも呼ばれる。Gross Profitは売上総利益、Gross Marginは売上総利益を売上で割った割合。Operating Profitは営業利益、Net Incomeは最終利益でBottom Lineとも呼ばれる。
Fixed Costは固定費、Variable Costは変動費。Break-even Pointは利益がゼロになる損益分岐点である。単純な一商品なら、一個の販売価格から変動費を引いた金額で固定費を割り、必要販売数を求める。
利益が出ても現金が足りないことはある。売掛金の回収より仕入れや給与の支払いが先なら、P/Lは黒字でも資金は減る。Cash Flowを別に見る理由である。
EBITDAはEarnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortizationで、利息、税金、減価償却を差し引く前の利益を見る。比較には便利だが、設備投資や借金返済が消えるわけではなく、現金そのものでもない。
CAPEXはCapital Expenditureで設備などへの投資、OPEXはOperating Expenditureで日常運営の費用。Burn Rateは現金が減る速度、Runwayは今の現金で何か月持つかの目安である。現金六千万円、毎月の純減少が一千万円なら約六か月になる。
Liquidityは必要時に現金化し、支払いへ対応できる度合い。Volatilityは価格や数値の変動の大きさで、損失そのものではない。
Hedgeは一方の損失を別の取引や契約で和らげること。Risk Hedgeは傘を差す行為で、天気を止める魔法ではない。Diversificationは投資先や収益源の分散である。
Leverageは借入などを使い自己資金以上を動かす意味でも使われ、利益と損失の両方を増幅する。Upsideは上振れ余地、Downsideは下振れ危険。Opportunity Costは選ばなかった最良案の価値、Sunk Costはすでに支払い取り戻せない費用である。過去に使った額ではなく、今日から追加投資する価値で判断する。
| 会計・資金用語 | 見るもの | 注意点 |
|---|---|---|
| P/L | 一定期間の利益 | 黒字でも現金が足りないことがある |
| B/S | ある時点の財産と負債 | 期間ではなく時点を見る |
| C/F | 現金の出入り | 資金繰りを見る |
| Gross Margin | 粗利率 | 売上規模だけでは採算は分からない |
| EBITDA | 償却前利益 | 現金そのものではない |
| CAPEX | 設備投資 | 将来のための投資 |
| OPEX | 運営費 | 日常運営の費用 |
| Runway | 持ちこたえられる月数 | Burn Rateと現金残高で見る |
利益と現金は別。P/L、B/S、C/Fを分けて読む
売上、粗利、営業利益、最終利益を見る。
資産、負債、純資産を見る。
黒字でも現金が足りるかを見る。
会計と資金は、利益、財政状態、現金の動きを分けて見る。黒字でも現金不足は起こり得る。
最短で覚える方法
最初は、略語を見て日本語を思い出すのではなく、英語を展開する。CPAならCost、Per、Acquisition。費用、一件あたり、獲得なので、一件の獲得にかかる費用だと復元できる。文脈によってはAction、つまり購入や申込みなどの成果行動を分母にする。
次に、百や千の具体例を置く。表示一万、クリック五百、購入二十五、広告費十万円なら、CTRは5パーセント、CVRは5パーセント、CPCは二百円、CPAは四千円。一つの物語に四用語を載せる。
| 数字の物語 | 計算 | 答え |
|---|---|---|
| 表示一万回、クリック五百回 | 500 ÷ 10,000 × 100 | CTR 5パーセント |
| クリック五百回、購入二十五件 | 25 ÷ 500 × 100 | CVR 5パーセント |
| 広告費十万円、クリック五百回 | 100,000 ÷ 500 | CPC 200円 |
| 広告費十万円、購入二十五件 | 100,000 ÷ 25 | CPA 4,000円 |
一日五分なら、この四つだけでかなり残る
CPA = Cost Per Acquisition
広告費 ÷ 獲得数または成果数
10万円 ÷ 25件 = 4,000円
一件の獲得や成果を得る費用
覚えるときは、英語を展開し、分母を書き、数字で一度計算し、最後に普通の日本語へ戻す。
用語カードには、英語の正式名称、何を測るか、数式の分母、どの判断に使うかを書く。CVR、Churn、LTV、ROIは定義差が出やすい。略語を知っていても分母を知らなければ、半分しか理解していない。
2006年、ワシントン大学セントルイス校のヘンリー・ローディガーとジェフリー・カーピックは、文章を再読した群と、思い出すテストを繰り返した群を比較した。一週間後の記憶はテスト群が61パーセント、再読群が40パーセントだった。用語集を眺め続けるより、白紙に英語と式を書き出す方が長く残りやすい。[6]
2008年、ニコラス・セペダらは千三百五十人を超える参加者を対象に、復習まで最大三か月半、最終テストまで最大一年の条件を調べた。覚えておきたい期間が長いほど、適切な復習間隔も長くなる。実務では翌日、三日後、一週間後、一か月後に短く確認すると扱いやすい。[7]
費用系はCPC、CPV、CPA、CAC。割合系はCTR、CVR、Retention、Churn。売上系はAOV、ARPU、MRR、ARR。目標系はKGI、KPI、OKR。意味のある束にすると検索が速くなる。
2019年、ベルリン工科大学の研究では、六十五人が八段階の手順を学び、頭文字を使った群は平均で約五分早く学習した。ただし覚えた後の実行すべてが良くなったわけではない。略語は入口を速くするが、理解と実践の代わりにはならない。頭文字を覚え、英語を展開し、自分の仕事で一度使う。[8]
最後は、一文で普通の日本語へ戻す。NRRなら、既存顧客の売上が解約や追加購入の後にどれだけ残ったか。専門語をさらに専門語で説明しない。説明できなければ、まだ使える知識になっていない。
用語を知る本当の目的
難しい表現は必要ない。本質が分かっていれば簡単な日本語で説明できる。2006年、プリンストン大学のダニエル・オッペンハイマーは、不必要に難しい単語を使っても知的に評価されるわけではなく、読みやすい表現が好まれることを実験で示した。[9]
2020年、オハイオ州立大学のヒラリー・シュルマンらが六百五十人を対象に行った研究でも、専門用語が多い文章は処理しにくく感じられ、定義を添えても影響は消えなかった。用語は多ければ強いのではない。必要な場面で正確に短く使うから価値がある。[10]
それでも、よく使われる言葉は覚えた方がよい。知らないだけで会議の入口で止まり、実力まで軽く見られるのは損である。共通語彙があれば長い説明を省き、数字の定義、問題の場所、次の行動へすぐ進める。
ビジネス用語は相手を煙に巻く道具ではない。説明を圧縮し、認識をそろえ、判断を速くする共有コードである。英語を分け、Perを割り算に戻し、Rateを割合に戻し、自分の数字で一度計算する。そこまでできれば、略語の森は普通の道になる。
参考文献・出典
- [1]William G. Chase and Herbert A. Simon, “Perception in Chess,” Cognitive Psychology, 1973. ↩
- [2]Google Analytics Help, “Engagement rate and bounce rate.” ↩
- [3]YouTube Help, “Understand your YouTube engagement” and “Measure key moments for audience retention.” ↩
- [4]Robert Bloom, “Donaldson Brown (1885-1965): The power of an individual and his ideas over time,” Accounting Historians Journal. ↩
- [5]What Matters, “The Origin Story of OKRs.” ↩
- [6]Henry L. Roediger III and Jeffrey D. Karpicke, “Test-Enhanced Learning: Taking Memory Tests Improves Long-Term Retention,” Psychological Science, 2006. ↩
- [7]Nicholas J. Cepeda et al., “Spacing effects in learning: a temporal ridgeline of optimal retention,” Psychological Science, 2008. ↩
- [8]Till Radovic and Dietrich Manzey, “The Impact of a Mnemonic Acronym on Learning and Performing a Procedural Task and Its Resilience Toward Interruptions,” Frontiers in Psychology, 2019. ↩
- [9]Daniel M. Oppenheimer, “Consequences of erudite vernacular utilized irrespective of necessity,” Applied Cognitive Psychology, 2006. ↩
- [10]Olivia M. Bullock, Daniel Colón Amill, Hillary C. Shulman and Graham N. Dixon, “Jargon as a barrier to effective science communication,” Public Understanding of Science, 2019. ↩

NEW BOOK 2026/06/01
Brain to Product
声で意図を渡し、プロダクトをつくる。
ぽちょ研究所代表・平野素大の新刊。音声入力とAIエージェントで、頭の中の違和感や意図を実装へ渡す開発論です。
Amazonで覗いてみるNOVEL 2026/02/06
わき道
遠回りの先にだけ、見える景色がある。
ぽちょ研究所代表・平野素大の小説。日本語版・英語版ともにAmazonで公開中です。
Amazonで覗いてみるNEW NOVEL 2026/07/07
世界が少し遠くなった
世界を変えない。けれど、距離は少し変わる。
約束を軽く扱えない男と、出会ってしまった人たちの物語。Kindle小説としてAmazonで公開中です。
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β TEST 2026/05/04
じも恋「地元に来い!」
あなたのポチるで、街の「足りない」を可視化。
住民のポチるを集め、地域ニーズをデータとして蓄積。誘致の保証はなくても、街の声を次の一手へつなげます。
ポチる
自叙伝ドットコム
あなたの人生は書く価値がある。
AIにだから語れる、本当の自分がある。記憶の断片を拾い集め、ひとつの物語へ。
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